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「2012年度税制改正大綱 税制抜本改革の錦の御旗」

2012/01/13 08:13
税制抜本改革の先行措置

 2012年度税制改正大綱には、「税制抜本改革」という言葉が何度も出てきます。大綱によると、その抜本改革の一部は2011年度に先行措置として改正案とされていたようです。ただし、国会通過がままならず、積み残しが発生したとしています。
 積み残しの一部である給与所得控除や退職所得2分の1課税については2012年度改正案として国会に再提案されます。積み残しの残りのものである、相続税・贈与税の改正は「税制抜本改革における実現を目指す」としています。


税制抜本改革とは何か

 大綱には、「所得課税、法人課税、消費課税、資産課税の全般にわたる税制抜本改革」とか、「消費税を含む税制抜本改革」とか、という表現が出てきます。
 ニュアンスとしては、消費税の税率アップを実現することが税制抜本改革の本丸のような印象を受けます。
 また他方で、「社会保障と税の一体改革」との表現もあり、消費税と社会保障費のリンクが目的のように思われます。


税制抜本改革をすることの決まり

 ところで、大綱の、税制抜本改革をすることは当然の大前提という口ぶり、はどこから出てくるのでしょうか。
 そう考えながら大綱を読んでいくと、「平成21 年度税制改正法附則104 条に示された道筋」と言う言葉が強調されていることに気付きます。税制抜本改革の錦の御旗はここにありそうです。


法附則104 条

 税制改正法は各税法の改正部分を一括して条文化しているので、改正後は各個別税法に異動し、その一括法には何も残らないのが通常です。
 ところが、「平成21 年度税制改正法附則104 条」は、それらと異なり特殊で、異動していく個別税法がありません。改正一括法にポツンと残っている規定です。
 そこに、社会保障給付の財源措置として「2010年代の半ばまでに持続可能な財政構造を確立する」ために、各個別税法の抜本的改革をする旨の宣言的規定がありました。
 自民・公明政権時代に作った規定だからこそ、ねじれ国会時代の錦の御旗になるのかもしれません。

「錦の御旗」
その行為や主張を正当化し、権威づけるもの。
(三省堂 大辞林)

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「2012年度税制改正大綱 2番煎じが目玉」

2012/01/11 23:08
マスコミにみる今年の大綱

 12月10日、2012年度税制改正大綱が公表されました。消費税増税を控えて場当たり的とか、小粒な内容とか、政策理念がないとか、マスコミ評価は惨憺たる状況です。
自動車重量税の軽減が取り沙汰されていることの外は、目立つ形で取り上げられていません。
むしろ、この税制改正案が、今年もまた、まともな国会通過を果たせないのではないかと心配になってしまいます。


大綱の拾い読み

 税理士の目から注目される制度改正をピックアップしてみます。
@給与所得控除の見直し
A退職所得課税の見直し
B住宅取得資金贈与の非課税枠拡充
 この@とAは昨年の改正予定で積み残しとなったものなので、2番煎じです。同じく積み残しの相続税増税・「納税者権利憲章」策定などは姿を消しています。Bは今年のささやかな目玉です。


給与所得控除の見直し

イ 給与所得控除の上限設定
給与収入が1,500 万円を超える場合の給与所得控除額については、245 万円の上限が設けられます。
ロ 特定支出控除の見直し
〇弁護士、公認会計士、税理士などの士業資格の取得費が特定支出の範囲に追加され、図書費、衣服費及び交際費等の「勤務必要経費」も、特定支出の範囲に追加されます。
〇給与所得控除の2分の1の額も特定支出の範囲に追加されます。


退職所得課税の見直し

 役員等としての勤続年数5年以下の者が受ける「役員退職手当等」については、2分の1課税の措置が廃止されます。
「役員等」には、通常の法人役員のほか、国会議員及び地方議会議員、国家公務員及び地方公務員が含まれます。


住宅取得資金贈与の非課税枠拡充

 平成23年までの非課税贈与枠を、事後3年に亘り漸減しながら延長するとともに、優良住宅向け特別拡充枠が設けられました。
 23年の1000万円枠は24年まで延長し、その後25年は700万円、26年は500万円と漸減します。ただし、省エネ・耐震住宅取得資金の場合は、24年1,500万円、25年1,200万円、26年1,000万円です。
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「2012年度税制改正大綱 国外財産調書制度」

2012/01/10 01:26
海外への資産逃避による申告漏れ対策

 2012年度税制改正大綱は、国外財産に係る所得や相続財産の申告漏れが近年増加傾向にあること等を踏まえ、一定額を超える国外財産を保有する個人に対し、その保有する国外財産に係る調書の提出を求める制度を創設する、としています。


対象者は中流上層以上の資産家か

 対象者は、年末時点で国外財産の総額が5千万円を超える居住者であって、提出する「国外財産調書」には、財産の種類、数量及び価額などを記載し、翌年3月15 日までに、税務署長に提出する、と言うことのようです。
 所得税、相続税の申告漏れを捕捉することが目的とされてはいますが、提出期限から判断して、所得税法に規定が置かれるものと推測されます。


所得の有無とは無関係な申告

 所得税法に規定が置かれるとしても、この「調書」は所得の有無とは無関係に提出義務が生じます。
 所得税法では、合計所得金額が2千万円超の者への「財産債務明細書」の提出を義務付けていますが、新設予定の「国外財産調書」の提出義務者には所得要件がありません。所得税の確定申告書の提出義務がなくても、調書提出だけが必要になることもあり得ます。


財産申告という新しい可罰制度

 従来からあった「財産債務明細書」の提出という財産申告には、不提出や虚偽記載に対するペナルティーはありませんでしたが、「国外財産調書」の提出という財産申告には、1年以下の懲役又は50 万円以下の罰金が法定されます。
 また、国外財産に係る所得があるのに国外財産調書不提出の場合、その所得部分についての無申告加算税・過少申告加算税には、5%が追加重課されます。


日本版富裕税への布石か

 「小富豪」向けに、海外への資産移転を煽り、その知識やテクニックを案内するオフショア勧誘情報が目につく昨今、いわゆる「資産フライト」が広く浸透し出したことへの対抗策なのでしょうが、さらにその先に国内財産への財産申告にも同じような厳罰をもって臨む制度化を目論んで、それへの布石だとすると、いよいよ日本版富裕税への準備かと思ってしまいます。


パーマネントトラベラーを夢見ているのだけれど・・
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「民間給与実態と景況」

2011/12/13 20:49
給与所得者の総数と給与総額の回復

 この9月16日国税庁公表の2010年分給与実態統計データによると、民間給与所得者数は、5,415 万人(公務員を含めた総数は約5,800万人)で、前年より27万人(0.5%)増加しています。給与総額は194兆3,722 億円で、前年より1兆8,980億円(1.0%)増加しています。


平均給与の回復の実態

 民間給与所得者の平均給与は、412万円で、前年より6万1千円(1.5%)増加しています。3年ぶりの増加ですが、前年の09年分の下落幅23万7千円(5.5%減)は1949年の同統計開始以来最大だったので、2010年分の412万円は増加に転じはしたものの、ここ10年では09年分に続く2番目に低い金額です。


源泉所得税にみえる下半期回復の様相

 民間給与に係る源泉徴収所得税額は7 兆5,009億円で、前年より697億円(0.9%)減でした。
この10月11日国税庁公表の法人申告事績報告は半年遅いデータなのですが、給与所得に係る源泉所得税の税収は8 兆6,389億円で、前年より687億円(0.8%)増でした。2011年に入ってから減が増に急転しているようです。
景気回復の足取りがしり上がり基調になっているように見受けられます。


業種別平均給与

 業種別にみると、最も高いのは電気・ガス・熱供給・水道業の696 万円(前年630万円、前々年675万円)、次いで金融・保険業の589 万円(前年625万円、前々年649万円)となっており、最も低いのは宿泊業,飲食サービス業の247 万円(前年241万円、前々年250万円)です。
 東電をはじめとする、原価プラス利益で販売価格を定める、電気・ガス・水道など公営的非競争独占企業の平均給与がダントツに高く、伸び(対前年66万円増)も大きく、新規参入しやすい飲食サービス業の年額で3倍近く、伸び(対前年6万円増)で11倍にもなっています。
 法律によって守られ、景気変動に左右されない企業が過剰に保護されている印象があります。


給与の上昇期に入ったのかしら
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「過去最低でも回復基調」

2011/12/12 20:25
3年連続で過去最低 黒字申告は25%

 国税庁が発表した2010事務年度の法人税の申告事績によると、今年6月末現在の法人数は前年度比0.7%(2万法人)減の297万8千法人で、うち今年7月までの1年間に申告したのは、前年度比0.9%(2万4千法人)減の276万2千法人でした。
 法人の黒字申告割合は25.2%と、前年度比で0.3ポイント減少しています。初めて30%を割り込んだ2008年度から3年連続で過去最低を更新しています。
 ちなみに、法人の黒字申告割合の過去最高は1973年度(65.4%)です。


実態は景気回復基調の増データ

 新聞には上記の悪い指標が躍っていましたが、統計値をみると、法人の申告所得金額は前年度比7.0%(2兆3526億円)増の36兆1836億円、申告税額の総額も前年度比7.5%(6560億円)増の9兆3856億円と、ともに7%程度増加しています。
 4年ぶりのことです。企業業績は回復基調にあり、赤字法人は減っています。黒字申告法人が少ないのは、相殺できる繰越欠損金が残っているからです。


税務申告に見る景気回復基調の実相

 黒字法人の申告所得金額は、黒字申告1件当たり、前年度比9.1%増の5,192万円です。申告欠損金額は、前年度比23.6%減の20兆8,969億円と大幅に減少しています。
 赤字申告1件あたりの欠損金額も同23.3%減の1,012万円となっています。
 ちなみに、申告所得金額の過去最高は2006年度の57兆828億円、申告欠損金額の過去最高は2002年度の33兆116億円です。


源泉所得税収納額にも増データ

 2010事務年度における源泉所得税額は12兆5597億円で、前年度比2.1%(2624億円)増と、これも4年ぶりに増加しています。
 主に給与所得の税額が前年度比0.8%増の8兆6389億円、配当所得が前年度比18.0%増の1兆6701億円と増加したことによるものです。
 給与所得や配当所得の増がもたらされているのは、法人所得の伸びの結果です。景気回復の足音が近づいている気配を感じます。


インフレ忌避よりデフレ克服に注力して欲しい
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「ねじれ国会時代の税制改正」

2011/12/03 13:53
税制改正の政局化から学ぶこと

今年の税制改正のうち、政府の目玉としていた改正税法は、半分ぐらいしか国会通過の見通しがありません。3月の時点で、自民党・公明党の3ヶ月つなぎ法によって辛うじて日切れを刹那的に回避したものの、6月の時点で同じようなつなぎ法だったら、そこに入っていなかった電子申告控除やバリヤフリー改修控除、森林計画特別控除は税制として消滅することになっていました。
最早、納税者有利規定といえども、遡及適用立法は、制度廃止のリスクを伴っていることを見過ごすことは出来ません。


平成24年度税制改正の行方

来たる平成24年度は、措置法の期限切れに絡む期限延長改正項目がけたたましく多い年で、税制改正が再び政局がらみの対決の様相を帯びると、消滅する税制や適用困難な税制が続出しかねません。


納税者不利規定で遡及適用不可のもの

 納税者不利規定には、交際費課税、使途秘匿金課税、繰戻し還付不適用規定があります。遅れて国会通過となり、日切れ現象が起きた場合には、交際費課税は、日切れ期間に開始する事業年度に適用不可となります。日切れ期間内に支出するものには使途秘匿金課税はありません。日切れ期間内に終了する事業年度には、繰戻還付停止規定は働きません。


平成23年12月31日で日切れのもの

 居住用財産に係る買換え、損益通算、繰越控除、長期優良住宅の特別控除、10年超保有事業用資産の交換・買換特例、住宅取得等資金贈与の非課税、住宅取得等資金贈与の相続時精算課税、その他の規定が、今年の12月31日で期限切れです。
今年の自民・公明の単純つなぎ法では3月31日期限のものは繋がれましたが、前年末のものは無視されました。同じパターンが繰り返されると、これらは消滅の危機に瀕することになります。


平成24年3月31日で日切れのもの

 期限立法の多くが3月31日期限で、その多くが納税者有利規定なので、遅れた国会通過でも、遡及適用は可能です。
 もし、政府が日切れのまま廃止予定にすることにしている法律があるとして、それが試験研究費や教育訓練費などのような事業年度開始規定のものの場合、単純つなぎ法で繋がれてしまうと、つなぎ期間に開始している事業年度には廃止効果がないことになります。
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「借地買戻しで不合理な結果」

2011/12/02 09:59
通達の借地権理論

 土地所有者である地主が、更地価格1億円の土地について、借地権を立退料6000万円を支払って買い戻して、更に、その借地権を他人に6000万円で借地再設定すると、 借地権の取得費も新規設定収入も共に6000万円なので
6000−6000=0 となるように思えます。
 しかし、ここの計算は、
6000−6000×0.6−6000×0.05=2100
(土地は先祖伝来のもので取得費不明、旧借地権は自然発生なのでかつて借地権の譲渡計算はしていない、という前提)となるような算式が、通達に書いてあります。


逐条解説では通達を否定

 ところが、この通達を解説する本には、「このような事例にあっては、法形式上は旧借地権の消滅、新借地権の設定という手順を踏んだことになるが、その経済的実質は、旧借地権者から新借地権者への借地権の移転とみることができ、その借地権の内容には何ら変更がないと解する余地が多分にあるにもかかわらず、この通達をそのまま適用して前述の算式に従って計算することにより課税される所得が発生することになろう。そこで、このような事例については、この通達を形式的に適用するのは必ずしも適当でないので、取引実態に即して、すなわち、地主にとって現実的な収入金額がない限り、その借地権取引によってその地主に所得が発生したと無理に考える必要はないであろう。」と述べて、通達の計算結果を否定し、 6000−6000=0 でよいとしています。


例外扱いでお茶を濁さず原理的再検討を

 神は細部に宿るのであり、細部の事例に適用して、合理的な結果を得られない通達の考え方は、原理的に誤っているのだと思われます。
 借地権と底地権が同一人に帰属したら、必ず混同処理しなければならない、と考えなくてもよいのではないでしょうか。借地権を底地から分離したら、それをそのまま維持しても、特に不都合はないように思われます。
 一度、借地と底地に分離した事のある土地は、その記憶・記録が明確な限り、同一人に借地と底地が帰属することになった後でも、別々な財産として、取得費の計算をするものとする方が、合理的な気がします。


借地を買い戻してすぐ借地にするんです
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「1円ストックオプションが主流に」

2011/11/29 20:39
1円ストックオプションの世界傾向

 株式報酬型役員退職金の性格の1円ストックオプションがアメリカで急増している、と10月7日の日経新聞が報じていました。
 ストックオプション(新株予約権)は、日本では、1997年に解禁され、1円ストックオプションの税制が明確になったのが2003〜2004年でした。日本での1円ストックオプションは、2007〜2008年に急増期があり、現在も少しづつ増えており、それに比して、通常型のストックオプションは減少傾向にあり、両者の比率は現在半々のようです。


非適格なれど退職所得税制適格

 上場企業では、役員報酬の開示が進んだことなどで、算定基準の不透明な退職慰労金を廃止するのが大勢で、その受け皿が1円ストップオクションだった訳です。退職慰労金だと自ずと年功色が強くなりがちなところ、1円ストックオプションだと成果重視の業績連動報酬制度の色が強くなる傾向にあるようです。
 一般に、権利行使期間は割当日から30年以内というように長期で、かつ取締役を退任した翌日から10日間などの行使条件がつけられています。
 1円行使価額という設定では、売却時の10%株式譲渡所得課税という税制適格ストックオプションには該当しませんが、退職所得課税の対象となります。


権利付与時の課税はなし

 ストックオプションは、登記されることになっているとともに、一般には、新株予約権証券が交付され、譲渡も可能とされています。
 ただし、1円ストックオプションの場合は、権利行使価額がほとんど無償での利益供与であるとともに、証券の交付がなく、譲渡制限がついていて、権利行使可能期間が極端に短い形成権であることを踏まえて、権利付与時の課税なしとされています。
 権利付与時での利益への不課税は算定の困難さとともに、未確定未実現所得への課税を税制が忌避しているからで、日航株の無価値化とか、1円になってしまった武富士株とか、9割も減した東電株などを見るにつけ、意味が再認識されます。


我が社でも、1円ストック・オプションの導入を検討してみましょう。
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「世界企業に非課税助成金」

2011/11/25 01:45
カルロス・ゴーンさんの会社移転

 日産自動車は平成21年8月に、長らく本社のあった東京・東銀座から横浜駅東口のそごうデパートと橋をはさんだ「横浜みなとみらい21地区」66街区に移転し、日産グローバル本社(登記簿上の本店は、横浜市神奈川区の横浜工場)としました。


神奈川県と横浜市が助成金支給

 この本社立地にあたり、神奈川県は、県外から県内へ本社機能を移転する「施設整備等助成制度」活用の最初の申請としてこれを受理し、横浜市は、企業立地等促進条例の対象地域内に事業所を賃借して本社等を設置すること、本社の従業者数が一定以上の規模となること、経常利益を一定額以上計上していること、などの要件を満たす法人として助成金支給の認定を与えました。


助成金は非課税ではないか

 これらの助成金に関して、横浜市から東京国税局に対し、非課税助成金に該当するものと解してよいかとの事前照会がありました。東京国税局は、法人税非課税通達の要件に該当すると判定し、平成23年9月8日に文書回答するとともに、それをネット上で公表しました。
 非課税通達とは、法人税基本通達9-5-4のことで、「法人が道府県又は市町村から工場誘致条例又はこれに準ずる条例に基づいて補助金、奨励金等の交付を受けた場合において、当該補助金、奨励金等が実質的に道府県民税及び市町村民税の減免に代えて交付されたものであることが明らかであるときは、当該補助金、奨励金等は、その交付を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入しない」とされています。


金額が巨大で当事者企業が巨大すぎる

 日産自動車の受ける助成金は50億円余で、それ以外にも、野村総合研究所が12億円余の助成金だそうです。
 世界のグローバル企業の誘致なので、何十億円程度の補助金は、その後の税収ですぐ元がとれ、併せて地元住民雇用の増大及び地元企業の事業機会の拡大など、地元経済の活性化に寄与するものとしての効果大との判断で行われているのでしょうが、助成金と言うのは中小企業支援とか、雇用促進とかを対象にするイメージがあるので、どうしても意外性を感じざるを得ません。



 紛らわしいから、減免なら減免手続きにすべきでは!
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「今年の税制改正 通勤手当非課税枠縮減」

2011/11/24 10:49
通勤手当非課税の規定

 通勤手当非課税は所得税法に定めがありますが、無制限非課税ではなく、政令で通勤手当の諸態様に応じた1ヶ月当りの非課税限度額が定められています。
 通勤手当の態様と非課税限度額は次のように大きく4つに分類されます。
@ 通勤定期券の現物支給を受けている場合のその通勤定期券(10万円限度)
A 交通機関利用者の自己負担通勤費の補填として受ける通勤手当(10万円限度)
B 自転車・自動車等利用通勤者が受ける通勤手当(距離別非課税限度額)
C 上のABの両方の利用者が受ける通勤手当(AとBの合計額で10万円限度)


距離別非課税限度額とは

 自転車・自動車等利用通勤者の受ける通勤費については、距離別非課税限度額が次のように定められています。
 片道通勤距離     非課税限度額
2キロメートル未満   なし(全額課税)
10キロメートル未満    4,100円
15キロメートル未満    6,500円
25キロメートル未満    11,300円
35キロメートル未満    16,100円
45キロメートル未満    24,500円


15キロメートル以上の場合の特例廃止

 通勤距離が片道15 キロメートル以上の自転車・自動車等利用通勤者で、交通機関を利用した場合の運賃相当額を通勤手当として受けている場合には、その金額を距離別非課税限度額(10万円限度)とすることが出来ることになっていましたが、今年の税制改正で、この部分が廃止されました。
 この改正は、平成24 年1月1日以後に受けるべき通勤手当について適用されます。

改正要望は国土交通省

 国交省は、交通手段を公共交通機関の利用に選択誘導し、環境負荷の適正化に資する、とともに、マイカー利用者に実費を基準とする額を超えて非課税措置が適用されている歪みがあるので、適正化する、と昨年の税制改正要望に記していました。
 しかし、マイカー利用者の利用実費(燃料費ほか維持費等と車両代)が距離別非課税限度額に満たないという歪みがあるという認識には誤解がありそうです。

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「日米それぞれの「アマゾン税」」

2011/11/20 21:47
「アマゾン税」導入が勢いづいている

 カリフォルニアやテネシーなど米国各州で、インターネット小売業への課税を強化する動きが広がっています。
 各州の州財政の悪化、ネットショッピングの利用拡大が、ウェブサイトを通じて州内で集客する企業に徴税を義務付ける「アマゾン税」と呼ばれる税金の導入の法制化を加速させているのです。
 同業最大手のアマゾン・ドット・コムの場合、売上税(日本の地方消費税に相当)を集めるのは法制上、本社を置くワシントン州などに限られており、ほかの州においては徴収されないので、不公平感が強まっていたところでした。


日本におけるアマゾン事件

 支店、出張所等の事業所、工場、倉庫などをPE(恒久的施設)といい、日本国内にPEを持たない外国法人は日本への申告・納税義務がなく、PEを持つ場合にはすべての国内源泉所得が課税対象となります。
 米国アマゾン・ドット・コムは日本国内にPEを置かないまま日本顧客との売買契約を直接結び、米国で売上を上げているとして、日本への法人税納付義務がないものとしていましたが、東京国税局はアマゾン子会社の日本法人がPE機能を果たしているとして、追徴課税処分をしました。
 アマゾン社は08年度年次報告書でその課税処分を公表しており、それによると、追徴税額は加算税等を含め、約1億1900万ドルで、当時のレートで140億円前後です。
 日米二国間協議が続いている模様です。


消費税では揉めていないのはなぜ

 ネットamazonで書籍を注文しようとすると、価格は消費税込みの額になっています。法人税の納税義務はないとしているのに、消費税の納税義務があることを認めているのでしょうか。
 日米租税条約では消費税は条約の対象税目になっておらず、消費税法の納税義務者は国内で課税取引をする「事業者」としか規定されていないので、外国法人でも、PEがなくても、消費税に関しては納税義務を回避できません。
 回避できるのなら、消費税なしの価格での販売にするところなのでしょうが、そこがまたアメリカ州税の売上税と違う面でもあります。
 


 日本でも、海外からのNet通販全体への影響、及び国内自治体の取り分についての考え方に波紋を呼びそうだ。
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「損税対策を税制要望」

2011/11/17 17:58
厚労省の24年度税制改正要望で

 厚労省は、重点項目の一つとして「社会診療報酬等に係る消費税のあり方の検討」を要望しました。これは、医療機関の仕入れに係る消費税(仮払消費税)のうち、社会保険診療に係るものは非課税用課税仕入れとなるため、この分の仕入税額控除ができず、消費者ではなく、事業者が負担する消費税、いわゆる“損税”の問題が生じているからです。


非課税はありがた迷惑

 消費税は、消費者の手に届く前の長い過程で既に事業者によって仮に納められ、前段階消費税として累積されています。そして、最終消費者の負担する消費税額が国に収納される際に控除されることによって、重複収納にならないようになっています。
 この重複収納排除をしないと、消費者が負担しなかった消費税が国に収納されたままになり、国の消費税収入の総額は課税物件にかかる消費税、即ち消費者の負担した消費税総額を超えることになります。
 非課税売上と言えども、事業者は最終消費者ではないので、前段階消費税を負担すべきいわれはありません。事業者は消費税をただ預かって国に納付するだけの法的社会的責任を持つに過ぎないからです。


医師会だけではない

 厚労省の要望は、医師会の要望を承けて採り上げたものですが、非課税のありがた迷惑は医師会に限られません。介護サービスや住宅貸付ほか多くの非課税事業者全体に共通する問題です。
消費税増税のため今後食品に係る消費税が非課税化されることになどなったら、この問題は限りなく広範なものになり、国の重複収納額も巨大なものになります。
 食品非課税による税収減の9割以上が確実に重複収納されたままになります。


非課税は値上げに通じる

 厚労省と医師会のねらいは、もしかすると、近未来の消費税率改定に照準を定め、診療報酬点数や薬価基準のアップを確保するためなのかもしれません。即ち、自己負担増となる前段階消費税を消費者に価格転嫁する戦略です。
 しかし、他の中小零細の非課税事業者はそのような仕入税額控除不適用分を売上代金に転嫁できる制度的恩恵を受けることなく、泣き寝入りしているだけです。


非課税事業者はみな医師会の主張の後に続くべきです。
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「免税事業者廃止の横やり」

2011/11/15 23:29
会計検査院 消費税免税制度の検討要請

 会計検査院は10月17日、資本金1000万円未満企業の新規事業開始後2年間の消費税納税義務免除制度について、財務省に再検討するよう要請しました。
会計検査院が調査したところによると、売上が3億円を超える企業まで免税となっていたり、設立2年経過後に解散したりする制度乱用のケースもあったようです。

税理士会の建議案

 税理士会は、以前から、消費税の基準期間制度を廃止することを税制建議してきています。
 前々年度を基準期間とする現行制度では、申告年度の課税売上高が多額であっても免税事業者となったり、反対に課税売上高が1,000 万円以下であっても納税義務が生じたりするような不合理な現象が生ずるからです。
 税理士会の案は、基準期間制度を廃止し、申告年度の課税売上実績が1,000 万円を超えていれば課税事業者、1,000 万円以下なら申告自由とすべき、というものです。


馬耳東風だった国税当局

 免税・課税の選択は、常に1年ないし2年先の状況を予測しないと有利不利の判定ができず、そのような判定が必要なのは零細事業者だけなのに、基準期間制度が生む弊害を零細事業者に押しつけて、国税当局はいままで馬耳東風でした。
 そこへ、身内の検査院から、単に税収確保し損なっているとの観点だけで、注文が出たので、何か手を打つ必要に迫られることになりました。


免税制度など無くてよい

 消費税は、二重の意味で、事業者課税の税制です。一つは、消費税の納税義務者は消費者ではなく事業者であること。もう一つは、事業者に国の徴税実務と徴税計算を押し付けて、税務署の下請け機関となることを、罰則をもって強制していることです。
 本来は、消費税の導入に際し、押し付けた国の徴税実務と徴税計算に要する費用を補填すべきだったのです。今からでも、税額控除という形で導入するのが、道理です。
 免税制度など廃止して、すべての事業者に申告義務を負わせても、徴税代行税額控除(月2.5万円、年30万円くらいが妥当)があれば、1000万円以下の売上なら納税額は、多くの場合ゼロになります。




この事務から解放されるなら、免税事業者制度なんかなくていいよ。
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「今年の税制改正 新しい減価償却資産PFI」

2011/11/14 18:21
減価償却資産が一つ増えた

 7月22日改正の法人税法施行令で、「公共施設等運営権」という名の新しい減価償却資産が生まれました。
 「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」いわゆるPFI法の改正法が6月1日に公布されたことにより、税制も改正されたからです。


PFIとは

 PFI(Private Finance Initiative)とは、民間事業者に公共施設の運営等を委託することをいい、法律は平成11年7月からあり、前年末時点で,全国で375のPFI事業が実施されています。
 国や地方公共団体の事業コストの削減、質の高い公共サービスの提供、を目指すのが目的であり、図書館や観光施設等の運営のケースが多く、話題性のあったものには、仙台市のスポーツ施設PFI「スポパーク松森」、刑務所PFIの「美祢社会復帰促進センター」「島根あさひ社会復帰促進センター」「喜連川社会復帰促進センター」、病院PFIの「高知医療センター」などがあります。


改正PFI法の内容

 PFIには、民間事業者が自治体等に対してサービス提供をして対価を受け取るタイプと、施設の所有権を公共側に残したまま民間事業者が独立の施設運営権者になるタイプとがあります。今次の改正は、後者の独立運営者タイプのPFIを普及させるための法整備をしたものです。
 公共施設運営権は、自治体等に対価を支払うことで権利取得され、その権利は不動産に準拠する物権とみなされ、法人の合併その他の一般承継、譲渡、滞納処分、強制執行、仮差押え及び仮処分並びに抵当権の目的となります。これらの事項は登記に代わるものとしての「公共施設等運営権登録簿」に登録されます。


新しい無形固定資産

 かくして、運営権は有償取得する独立した財産権なので,無形減価償却資産に該当するものとされ、法定耐用年数は事業の実施に当たり設定した運営権の存続期間、第三者から譲渡された運営権の場合は残りの未経過存続期間とされました。
 なお、消費税の課税売上割合の著しい変動に係る調整対象固定資産の範囲にも「公共施設等運営権」が追加されています。



学校PFIもあるんだって
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「負けてもよいのだ」

2011/11/10 20:19
遡及立法合憲判決の意義

 法律によらなければ課税できないとの憲法原則は、自分の税金がいくらになるのか予測しながら経済選択行動することを保障するためのものであり、予測計算判断を十分にできるようにするための期間こそ確保すべきことを要求するものです。
 翌年施行などのように、公布した法律の熟知までの期間の十分な確保への要求です。
 それを有らぬことか、遡及立法まで合憲とする無謀な最高裁判決が平成23年9月22日にありました。不動産の損益通算廃止立法の遡及適用に係る争訟事案です。
 その無謀さのゆえか、判決には逆に、増幅的な政治的効果が生まれてしまったと言えそうです。


国民の不断努力義務

 憲法は12条で、国民に不断の努力で自由や権利を保持すべきことを要求しています。自由や権利はタナボタで与えられるものではない、と言っているわけです。
 たとえ敗訴になろうとも、信ずるところによって国の誤りを正す。これが、憲法でいう国民の権利保持の不断の努力です。


これからの遡及立法

 今回の最高裁判決で、今後とも遡及立法が許されることになるのか、と言えば、当然ながら、もはやそんなことは今後起きないこと必定です。
 税務訴訟まで起こしてしまった税法改正は、財務省の失敗事例ですから、二度と繰り返えさないでしょう。
 国会での、厳しい追及を避けようとする官僚の学習効果としては十分だからです。


敗訴納税者のさらに大きな貢献

 それだけでなく、今年の税制改正の失敗過程で、納税者有利規定だから遡及適用で誰も文句を言うまい、と高を括っていると、そのまま税法条文が消滅してしまいかねないリスクがあることも学習したはずです。
 電子申告控除やバリヤフリー改修控除、森林計画特別控除は、自民党・公明党の3ヶ月つなぎ法に入っていませんでした。もしかすると、再つなぎ法で収束だったとすると、そのまま消滅してしまう可能性が現実にありました。
 今後は、期限延長にからむ納税者有利規定の遡及適用立法も、安易には行われなくなるのではないでしょうか。



  裁判での勝ち負けだけではない !!
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「最高裁の平衡感覚の異常」

2011/11/09 20:15
最高裁の遡及立法擁護判決

 平成16年の土地建物の譲渡所得と他の所得との損益通算を廃止する税制改正は年初への遡及適用だったことによる、遡及課税が許されるかを争った裁判がいくつも起きていました。
 「租税法規不遡及の原則に違反し違憲無効」とする判決、合憲とする判決がそれぞれあり、最高裁にまで争訟はつづき、平成23年9月22日最後の判決がありました。
 租税法律主義の憲法規定は遡及立法による課税を禁止していない、との判決です。


遡及立法ではないとの理由

 合憲判決によると、所得税は期間税なのだから、納税義務の確定日としての12月31日からすれば遡及には当たらない、と言います。しかし、納税義務の確定日は暦年終了日とは限らず、年中に死亡とか、海外出国の場合は3月31日以前に納税義務が確定してしまいます。理屈が通りません。
 また、不動産取引など一生に1度か2度かのもので、同年中に別な取引をすることなどほとんど有り得ないので、改正法下では、一度の行為時点で納税義務の内容は実質的に確定してしまいます。それを、形式論で歴年末での納税義務確定などと言うのは詭弁です。


遡及立法も許す緊急性があるとの言い草

 適用を4月以降とすることが憚られるほどの緊急の遡及立法の必要性をのべています。それなら、不動産税制の改正のテーマが政府税調の中で議論されたのはこの立法時の2年前で、なぜのんびりしていたのか説明がつきません。
 土地と株式の課税不均衡是正が緊急課題とも言いますが、ゴルフ会員権の譲渡損を総合課税に今なお据え置く不均衡はなぜ放置しているのか? 説明がつきません。
 地価下落防止の緊急性も説いていますが、その年の通常国会提案立法に地価がらみのものは一つもありません。土地需要抑制の為の土地利息必要経費不算入規定も放置したままです。地価対策が焦眉の政治テーマだった事実はありません。


武富士贈与税回避判決と同じ裁判官

 香港に居住地を移して武富士株を贈与するスキームを争った事件の判決では、国側敗訴で、1330億円の還付金とそれへの還付加算金が国の負担となり国庫が枯渇したと言われています。遡及立法違憲事件と同じ裁判官でした。同一人格者の判決とは思えないところです。


違憲判決を出すのは怖いのかな !!
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「自動車課税と国民意識」

2011/10/26 18:54
自動車利用者の税負担感は強い?

 5、6年前のことですが、(社)日本自動車工業会・(社)石油連盟・自動車総連などが「ガソリン税は二重課税」とか「消費税と自動車取得税との二重課税」という内容で広告を出し、税制建議もしていました。
 最近、JAF(日本自動車連盟)が「自動車税制に関するアンケート調査」を行い、自動車ユーザーの97%が自動車関連税を重いと感じている、と報告しています。


JAFアンケートの問題意識

 JAFはアンケート質問の前に問題点の存在を指摘しています。
@自動車の取得段階では消費税と自動車取得税が、さらに保有段階では自動車税と自動車重量税があり、その負担は欧米諸国に比べ約2〜49倍と極めて過重。
A自動車諸税では本来の約2倍もの税率(旧暫定税率)が「当分の間」として維持されている。
B自動車重量税は、道路の整備で利益を受けるからとの趣旨で、道路整備費補填のため創設され、平成21年に一般財源化されたことにより課税根拠を喪失している。
C消費税と自動車取得税は共に5%税率で、取得時の二重併課である。
Dガソリン本体価格にガソリン税がかかり、その合計額にさらに消費税がかかる、という重複課税がある。
E地方では生活の足として自動車が必需品で、自動車への税の過重負荷は地方への過重負荷を意味することになる。


誘導尋問的なスタンスではあるが

 JAFアンケートの設問には、回答を誘導する姿勢がアリアリなので、回答内容がそれに引っ張られるのは当然ながら、その集計結果は日本国民の意識をよく反映しているような印象を受けました。
@自動車への過重負荷には、国の財政が厳しいならやむなし51%、自動車ユーザーは負担力があるから21%、税率が下がると自動車の利用が増え環境に負荷がかかるから20%、と容認派が多数である。
A特定財源から一般財源になったことによる課税根拠喪失には、87%はスジが通らないとしている。
B二重併課、重複課税、地方過重も好ましい課税のあり方ではないとの意見が89%、87%、85%と高率である。


負荷の大少よりスジの通った税制、優しい税制にしてほしい
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「バフェット増税論に思う」

2011/10/25 22:24
バフェット発言を読み解く

 アメリカの著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏が、米ニューヨーク・タイムズ紙に「年収100万ドル超の富裕層に即座に増税するべき」、財政赤字削減の負担を分かち合うべきと寄稿し、話題になっています。
 しかし、不思議なことに、バフェット氏の連邦税は、693万8744ドルと巨額ですが、実効税率は17.4%でしかなくて、彼の部下の20人の従業員の誰よりも低い税率なのだそうです。理由は、バフェット氏の所得の種類が株式の配当や譲渡益など15%税率の投資家所得で占められているからのようです。


なぜ部下より低い税負担率

 仮にバフェット氏の投資家所得以外がアメリカ連邦所得税の最高税率は35%に該当するものとして計算すると、
@A×15%+B×35%=$6,938,744
A(A+B)×17.4%=$6,938,744
この@とAの連立方程式を解くと、
A=$35,092,498(88%)
B=$ 4,785,340(12%)
となり、所得の88%が投資家所得であることになります。


バフェット的な人に負担を求める

 アメリカ連邦所得税に低率分離課税がないとして、全部総合課税だったとすると、ほぼ倍の税額を納めることになっていたところです。
 高所得層がより低い層より税の負担率が低い、という現象が起きていることに、バフェット氏は心の痛みを感じての発言をしているのでしょうが、ここから直接に、だから高所得層には富裕税を課すべきであると言うことにはなりません。
 まず提起されているのは、所得に逆進的になっている税の歪みの是正の問題だからです。多くの高所得層は、投資家所得よりも、主には、連邦所得税の最高税率の洗礼を受けている、と思われるからです。


日本について同じように考えると

 この課題は、増税論議が盛んになっている日本の税制について考える場合においても、同じ問題が存在しています。むしろ、日本の場合の投資家所得は上場株式については7%の分離課税税率で、所得税の総合課税の最高税率は40%なので、税負担の所得逆進性はアメリカよりも激しい、と言えます。


この坂道を登るには、同じルールにすべきものがある。
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「やっと施行、倒産防止共済」

2011/10/25 22:22
10月決算法人から利用可

 中小企業倒産防止共済の掛金引き上げの施行日は政令委任になっていましたが、ようやく9月16日この政令が公布され、10月1日施行と定まりました。
 この政令の基となる法律「中小企業倒産防止共済法の一部を改正する法律」は平成22年4月14日の成立です。鳩山内閣のときです。それから1年半、菅内閣を経て野田内閣まで、随分永いこと待たされました。


改正法施行の内容

 改正新法により、毎月20万円以内の掛金を、総額が800万円になるまで積み立てることができます。また加入者は、取引先が倒産した場合に、積み立て掛金総額の10倍の範囲内(最高8千万円まで)で回収困難な売掛債権等の額以内の貸し付けを受けることができます。


毎年240万円の損金算入積立金

 この共済掛金は掛け捨てではありません。それなのに、全額損金(必要経費)になります。1年分前払いの場合には短期前払費用の損金算入の適用もあります。
 得意先倒産リスク管理用積立性保険に加入することを兼ねて、純粋に節税商品としてこれを利用することは可能です。


知っておいてよいこと

 解約は自由です。ただし無利息です。
40ヶ月以上積み立てれば100%戻ります。40ヶ月以内の解約は損をします。
 共済掛金積立額の10倍までの貸し付けを受けても、無利息となっていますが、共済貸付金の10分の1の掛金が没収となるので、全体で10%の利息となります。最長期間7年で返済するとなると、年利2.857%に相当します。


申告に際しての留意点

 掛金の損金(必要経費)算入の適用要件として、明細書の添付が要求されています。法人税の場合は別表十(九)が用意されています。
 また、任意解約による積立金の返還金は益金(収入金額)となるので、解約のタイミングも留意事項と言えます。


小規模共済・中退金の施行は?

 なお、同時期に改正された、小規模企業共済への加入者枠拡大、中小企業退職金共済への加入者枠拡大については平成23年1月より施行されています。


損金算入明細書がないと、損金不可ですよ
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「グループ法人税制 1人で渡る赤信号」

2011/10/22 23:09
赤信号みんなで渡れば怖くない

 有価証券報告書提出会社以外の株式会社は、決算公告が義務付けられていて、官報または日刊新聞紙もしくはインターネットで公告することになっています。
 しかし「赤信号みんなで渡れば怖くない」で、ほとんどの中小株式会社がその義務を無視しています。罰則はあるのですが、発動されたことはありません。


制度誘導しているグループ法人税制

 グループ法人税制では、寄附金の取扱いや、現物分配、会社清算などでの特例の適用は、個人株主の下に複数の兄弟会社があるという形のときには対象になりません。法人同士の親子関係でなければなりません。
 そうすると自ずと、兄弟会社の上に全会社を統括する持株会社を設けて親子関係にするとか、兄弟関係を親子関係に組み替えるとか、ということに制度誘導されていくことになりそうです。


1人で渡るときの赤信号

 持株会社設立や兄弟会社の親子会社化に制度誘導される手法としては、
@ 新設分割をして事業を分社化する
A 株式交換をして完全親子会社になる
B 株式移転により完全親会社を新設する
などが挙げられます。
 ところが、これらの会社分割、株式交換、株式移転をしようとすると、決算公告をきちんとしているか否かが問われます。これらの組織再編行為をするときには、債権者保護手続きとして、官報公告や催告書の送付が義務付けられています。その文書には、決算公告が掲載されている官報や新聞の日付と頁数又はホームページのアドレスを示すということが要求されています。


組織再編の関所は登記手続きという要害

 組織再編行為の場合、債権者保護手続のあと商業登記手続をしますが、登記の添付書面として決算広告とセットになった官報広告及び債権者への催告書が必要です。登記手続きは、組織再編を有効にする不可欠の要件なので、この関所を越えるためには、決算公告を無視し続けるわけにはいかないのです。
 そういうわけで、官報の組織再編公告には、タイミングの遅れた決算公告を一緒にしているものが目に付きます。

1人だけで渡る赤信号では、信号無視を見過ごしてもらえません。
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「文理解釈では規定なし」

2011/10/08 03:13
 税法は侵害規範なので文理解釈に依るべき、とは判例や学説での通説的見解です。


償却費計算規定の文理解釈

 それで、減価償却の規定をみてみると、
第1項で、「各事業年度終了の時において有する減価償却資産」について規定し、
第2項で、適格分割等による期中移転資産について規定しています。
 すなわち、@期末に在る資産、A適格分割等での期中異動資産、この2つに対してしか規定は存在していないということです。
 そういうことからすると、この2つ以外、@非適格組織再編での期中異動、A期中売買、B期中除却・廃棄、Cその他、の理由での期中異動・期末不在資産については、税法に規定がないということになります。
 これが文理解釈から出てくる結論です。


規定がないものにたいする国の見解

 国税庁は10年前、年度末資産に限定の規定に法改正されて直ぐ、年中の譲渡資産の償却費を必要経費に算入しても差し支えない、と見解を示し、また、この改正に期中譲渡資産の譲渡時までの償却費の計上を否定する趣旨はない、と言っていました。
 グループ法人税制施行時にも、譲渡損益調整資産についての譲渡時点までの「期中償却額」は損金算入となり、譲渡損益調整資産の帳簿価額1,000万円の判定も期中償却額控除後による、としています。


国の見解をどう理解する

この、国の見解に対しては、次のような異なる理解があります。
@ 規定のない期中異動資産に対する償却計上は会計慣行に依ることになり、税法制限はないことになるとの表明。
A 立法趣旨は期末資産と適格組織再編での期中異動資産に限っての償却費損金算入容認規定なのだから、納税者有利な超法規解釈と言うべき。


在野にも多い超法規解釈派

 期中償却はできないとAの立場を原理的に書いて、後の号で「質疑応答事例」などの存在を理由に訂正をしていた税務専門誌もあります。しかし、訂正の真の理由が@から来るのか、Aだからなのか、曖昧です。
 国税庁に超法規解釈の権限はないし、通達立法・解釈立法をするつもりも無いと思われますが、ネットで検索をして出てくる在野の理解としては、意外と、国税庁への不信とも言える超法規解釈派が多いように見受けられます。
 

 国税庁の質疑応答開示を、法令違反の御都合解釈と決めつけている人も多い!!
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「資産形成の賢い方法」

2011/10/06 23:12
資産形成の最初の選択肢

 資産形成と言うと、海外投資信託とか、不動産投資とか、がイメージされるかもしれませんが、その前に税制メリットを享受することから始めるべきです。
 掛金が所得から控除されるものに投資すれば、本来の利回りのほかに税率分のリターンがあることになります。所得税と住民税を合わせて50%の課税になっている人の場合、掛金の50%のリターンですから驚異的です。さらに、人によっては健康保険料の料額にも影響しますので、実質リターンはもっと大きいことになります。


どんなものがあるのか

@国民年金基金
A個人型確定拠出年金
B小規模企業共済
 これらの公的な資産形成の制度の掛金は全額所得控除の対象になります。@の国民年金基金の月々の掛金限度額は68,000円なので年計816,000円です。Aの個人型確定拠出年金も自営の人は同額です。企業年金のないサラリーマンは月々の掛金限度額23,000円、年計276,000円です。Bの小規模企業共済の月々の掛金限度額は70,000円、年計840,000円です。


サラリーマンに朗報の今年の改正

 先の@ABは自営業者、法人役員、企業年金のないサラリーマンが対象ですが、企業年金のあるサラリーマンを対象とした制度改正が最近ありました。企業型確定拠出年金の個人拠出制度、いわゆるマッチング拠出制度の導入です。
 税法改正は平成21年度に済んでいたのですが、肝心の「年金確保支援法」が衆院で店晒し、参院で店晒しとなっていて、なかなか成案に成らなかったところ、この8月4日やっと国会通過、8月10日公布で、来年1月から施行されるに至りました。


マッチング拠出の制度内容

 企業型確定拠出年金の掛金額の上限は年額612,000円(他の企業年金がすでにある場合は半額の306,000千円)で、その月々の掛金の半分以下を従業員が個人拠出できる、というのがマッチング拠出の制度内容です。
 投資効率、投資リスクを考えると、これら既述の公的資産形成の制度上での家計資産運用は、実行していないものがあったらこれをまず優先的に考慮すべきものです。


不動産や株の前にやることが
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「非上場株でも上場株の税率」

2011/10/05 23:06
株式の配当・譲渡課税の原則

 株式の配当所得に対する課税は,非上場株式については国税20%の源泉徴収の上確定申告での総合課税、上場株式については10%(国税7%、地方税3%)の源泉徴収の上、総合課税、申告分離課税、申告不要の選択となるのが原則です。
 株式の譲渡所得も似た制度になっていますが、総合課税は無く、非上場は20%(国税15%、地方税5%)の申告分離のみで源泉徴収はありません。上場株式は配当所得との損益通算が可能で、申告分離課税のほか、10%(国税7%、地方税3%)の源泉徴収の上、申告不要とする選択もでき、譲渡損失が残るときは、損失の繰越しをすることができます。


上場と非上場の限界事例

 都市銀行などに見られるように、株式交換や移転により完全子会社となると、自ずと上場廃止になります。
 ただし、株式交換などでは、その成立に必要な株主総会の承認決議で反対の意思表示をすると、その会社に自分の所有する株式の買取請求ができます。そこで買い取られる株式は自己株式となるので、みなし配当や譲渡損益が発生します。
 この場合、株式の買取請求による価額の確定や対価の支払時期が上場廃止の前後になるので、自ずと上場と非上場の限界事例となります。


限界事例の具体的内容

 株式交換の効力発生は上場廃止の3日後とされており、株式の買取価格は、反対株主と会社との間に協議が調ったときはその価格となり、効力発生日から30日以内に協議が調わないときは、その期間の満了の日後30日以内に裁判所に申立てをして、裁判所で決定することになります。
 国税庁のホームページをみると、実際に起きている、株式交換、上場廃止、買取請求の事例の課税関係に係る大阪国税局の事前照会回答が掲載されています。


税率は非上場でも上場と同じ扱いでよい

 株式交換の公告時点、総会決議時点、買取請求時点、上場最終日の全てで株主であったならば、配当所得・譲渡所得の発生日が上場廃止後になったとしても、上場株式等に係る所得と取り扱う、というのが大阪国税局文書回答の内容です。
 ただし、配当所得と譲渡損失の通算や、株式譲渡損失の繰越控除の規定まで上場扱いでよいとは、言及していません。


上場と非上場では扱いが全く違うが、 税率のところだけは融通がきくのかな!
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「みなし配当にならない自己株取得」

2011/10/04 20:14
自己株式取得の税務処理の原則

 自己株式の取得は資産の取得ではなく、減資と同じ株主資本の部分清算と解するのが税務の原則です。
 減資の場合には出資した元本を超える払戻しがあるとき、その超える部分についてみなし配当という扱いになります。自己株取得も同じで、出資額(100%資本組入れだったら従来の額面金額)を超えた対価での自己株取得では、その超える部分についてみなし配当という扱いになります。


みなし配当にならない例外ケース

 利益積立のない赤字体質会社ではみなし配当はありえません。それ以外で、自己株取得でみなし配当にならないケースとしては次のようなものがあります。
@上場株式一般の「市場取引」での自己株取得。買い手が誰か不明で自社株買いにあたるか分からないため、譲渡側は単純な株式譲渡。
A端株主の端株の買取請求又は単元未満株式の買取請求による買取等でも、譲渡側は単純な株式譲渡。
B合併に反対する被合併法人の株主の買取請求に基づく買取りの場合、譲渡側は単純な株式譲渡。相続税の納税のために相続取得の非上場株式を発行会社が買い取る場合、譲渡側は単純な株式譲渡。さらに、相続税額の取得費加算制度の適用もあり。
C株式交換完全子法人となる会社の株式を事前に所有していたことにより、自己が完全親法人となる株式交換で自己株式の割当を受けることになった場合。
D適格現物分配により交付する資産が被現物分配法人の自己株式である場合。
E事業の全部の譲受けや合併又は適格分割若しくは適格現物出資に際し移転資産に含まれる自己株式を取得する場合。


税務簿価も取引価額がそのまま

 自己株式の税務簿価には株主資本の部分払戻しをしたと解される価額が付されるのが原則です。いわゆる資本金等の額、に対応する金額です。
 それに対し、上記のみなし配当非該当のケースでは、取得価額がそのまま税務簿価となります。
なお、それ以外で取得価額を税務簿価とする例外的ケースですが、平成14年の法改正より前から取得していた自己株式については付随費用を含めた取得原価のままで税務簿価となります。


 自己株取得は、株主資本の部分払戻し
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「繰越欠損金を巡る緩和と制限」

2011/10/04 00:06
組織再編と繰越欠損金の引継ぎ

 法人間の取引価額は時価であることを原則とする、という時代には、法人の繰越欠損金が引き継がれたり、制限を受けたりということはありませんでしたが、平成13年の企業組織再編税制の施行に伴い、簿価での資産異動が法人間で出来るようになってからは、適格合併での繰越欠損金の引継ぎが認められるようになりました。


欠損金使用への喧しい制限

 しかし、その裏側として、欠損金引継ぎに神経質な要件が規定されるに歩調を合わせて、資産受け入れ法人側の欠損金の使用制限もやかましくなりました。
 すなわち、引継ぎ欠損金を使って当期利益を圧縮することとは逆の、組織再編で得ることとなる当期利益を自分の過去の繰越欠損金で圧縮することにも制限が付されるようになったのです。


グループ法人税制へも波及

 組織再編は合併や会社分割などばかりでなく、グループ法人税制の施行以後は、現物配当も組織再編行為に分類されるようになりました。金銭以外で配当を受けたら過去の繰越欠損金が使えなくなってしまった、と言うようなことが起こり得るようになりました。
 また、含み損を抱えた資産の受け入れによる3年以内の実現損は損金不算入、逆に、含み益を抱えた資産の受け入れではその含み益分だけ、受け入れ法人の自己の切捨て繰越欠損金が減殺されます。


引き算から足し算への変更の特例

 因みに、昨年度の政令改正で、事業を移転しない適格組織再編成等の場合、明細書の添付を要件として、切り捨てられる欠損金額を移転資産の含み益の範囲内とすることができる特例が設けられました。
 さらに、今年度の政令改正で、適格現物分配による移転資産が親会社の自己株式である場合には、含み益がある場合でも、ゼロとして、この特例を適用することになりました。そして、移転資産が親会社の自己株式のみであるときは、明細書の添付も不要とされています。


制限の対象となるケースは少ない

 なお、これらの制限は、組織再編する法人間の支配関係が過去5年以上に遡及できるときなどには適用ありません。会社買い取りやM&Aで新しくグループ内に入ってきた法人との関係で注意すべきことです。


欠損金と含み損の使用制限は、 意外なところにあるな!!
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「今年の税制改正 著しい下落の評価損だが」

2011/09/30 22:19
債務超過子法人の清算での想定外

 グループ法人税制では、完全支配関係にある親子会社間で、子会社が解散した場合に親会社が「子会社の未処理欠損金額を引き継ぐ」ことになり、その代わり子会社株式消滅損は認識しません。
 ところで、解散子会社の残余財産確定までに、親会社において子会社株式の評価損を子会社の資産状態の著しい悪化を理由に計上してしまえば、子会社株式消滅損は生じなくなり,それでも未処理欠損金額の引継ぎはできました。


損失の二重計上だとして法改正

 導入1年目の昨年度では、上記のような評価損計上の可能性について、立法当局において事前に気付かれていなかったようで、本年度の税制改正では、このような評価損は損金算入できないものとすることとされました。
 具体的には、
@清算中の内国法人
A解散をすることが見込まれる内国法人(除く合併解散)
B内国法人でその内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人との間で適格合併を行うことが見込まれるもの
 この3つの子会社株式の評価損が損金算入できないこととなりました。
 この改正は,改正法の施行日である6月30日以後に行われる評価換え等から適用されています。


子会社株式の売却損でも同じ

 グループ関係の会社が複数あるとき、債務超過欠損子会社株式をグループ内の他の法人に売却するとした場合には、譲渡法人に売却損が計上され、譲り受け法人に未処理欠損金が引継がれることになります。
 ただし、グループ法人内での譲渡で帳簿価額1000万円以上のものについては、譲渡損益はそのままでは計上できないので、会社の解散・清算による消滅の時まで、損金算入時期が遅れることになります。
 すぐ評価損をするのではなく、タイミングの遅れた譲渡損でもよいとするならば、別々の会社にではありますが、株式の損失計上と未処理欠損金の引継ぎとの両方の計上は相変わらず可能です。抜け穴ふさぎをしたつもりなのでしょうが、来年度はグループ内譲渡損の計上否認の税制改正をしないと、不完全です。

 こんな抜け穴が、まだ残っているよ
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「今年の税制改正 税控除と寄附文化の行方」

2011/09/27 23:48
寄附金控除の今年の税制改正

(1)国、地方公共団体、日本赤十字社及び中央共同募金会等への義援金については、総所得金額等の80%を限度に寄附金控除(所得控除)ができます。
(2)被災者支援活動を行う認定NPO法人等が募集する特定震災指定寄附金については、もし寄附の全額がその特定震災指定寄附金だったら、総所得金額等の80%を限度に寄附額の40%を寄附金控除(税額控除で所得税の25%を限度)とすることができます。
(3)日本赤十字社や中央共同募金会、国などに義援金として寄付する場合にも「ふるさと納税」扱いとなり、住民税の寄附金控除の額が手厚くなります。
 以上の寄附金控除には2000円の足切りがあります。
(4)6月30日施行の平成23年度税制改正で特定寄附信託制度が創設されました。
非営利団体への計画的寄附を目的に金銭を信託した場合の寄附金控除と利子非課税の特例措置が設けられています。


寄附金控除に寄附促進効果があるのか

 寄附金控除の制度創設や拡充が日本の寄附文化の醸成に貢献しているか、についての関西社会経済研究所調査報告があります。
●震災から約3ヵ月間の1人当たりの寄附支出額は9443円でした。寄附金を階級別にみると、最も割合で高いのは「2000円以上5000円未満」の19.0%で、「1万円以上2万円未満」は12.9%、10万円以上は1.3%でした。世帯所得が1千万円以上になると、1人当たり寄附支出額が急増し、また、寄附は件数でみると1万円未満の小口が71.1%と圧倒的ですが、寄附総額への貢献は大口が85%を占めています。
●寄附者のうち「寄附金控除」を震災寄附の誘因とした人は19.1%。つまり、80%以上の寄附者が、寄附金控除の有無に拘わらず寄付しています。


手厳しいまとめ

 上記調査の「まとめ」によると、寄附金控除の拡充が寄附行動に及ぼした効果は小さく、不必要な政策であり、寄附金控除は高所得者層に対する寄付促進効果を持つものの、税収を減少させるマイナス面があるので、詳細に検証する必要がある、と手厳しい結論になっています。
 しかし、もっと長い眼でみる必要もあるように思われます。


税金は、間接寄附。義捐金は、直接寄附
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「マイナス資本金等の歴史」

2011/09/21 19:32
マイナスはなかった以前とネーミング

 資本積立金については、平成13年の改正でマイナスの発生があり得ることとなり、平成18年からは「資本金等の額」とネーミングされるようになりました。
 利益積立金も同じで、そのマイナスとなったときの不都合がさまざま指摘されたところで、不都合への対処として法令改正が何度もなされています。


第一は自己株取得とみなし配当
 平成19年度の法人税政令の改正で、「自己株式を取得する直前の資本金等の額」がゼロ以下である場合は、所有株式に対応する資本金等の額及び減少資本金等の額は「ゼロ」とすることとされました。
 みなし配当の計算においても、マイナス資本金等の額の場合、交付金銭等の全額が、株主に対するみなし配当となることとされました。
 その他、資本の払戻しや分割型分割の場面でも同様の問題があるので類似の改正がされています。


第二は清算所得の廃止

  残余財産−資本金等−利益積立金=清算所得
 清算所得課税の公式はこの通りだったので、これだと、赤字つづきの会社が清算すると、マイナスの利益積立金についてのマイナス計算になり、課税所得が生ずることになってしまう不合理をもたらします。実務では資本金等と利益積立金のマイナスは清算所得計算上、法律を無視して、ゼロと扱っていました。
 この不都合を解決するために、平成22年度の法改正で、清算所得課税制度を廃止してしまいました。


第三は債務免除益への課税回避

 残余財産がないと見込まれる場合には、期限切れ欠損金(マイナス利益積立金)の損金算入が認められる、との平成22年度税制改正を承けてさらに、マイナス資本金等の額も損金算入することができるとの本年、平成23年度税制改正がありました。
 清算年度での債務免除益課税が起きないようにするためです。
 これは、一見、資本と利益の混同のように見え、事実そうなのかもしれませんが、譲渡損や評価損として損金算入されていたものが、法改正で資本金等にされることが多々あるようになったことを承けてのことと考えられます。

資本と利益の混同?
マイナス資本金等に係る今年の税制改正!!
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「グループ法人税制 移転資産の期中償却の可否」

2011/09/21 04:32
償却計算の平成22年改正

 平成13年から、減価償却は「各事業年度終了の時において有する」資産を対象とする、という規定になっています。
 ただし、適格組織再編により資産の移転がなされるときは事業年度末とは限らないので、その移転日の前日を年度末とみなして償却計算をすることができるとされています。これを「期中損金経理」と言うと規定されています。昨年改正でこの仲間に適格現物分配が含まれるようになりました。


譲渡損益調整資産の場合の公開情報

 それでは、期中に譲渡や滅失や非適格組織再編やで、期末に存在しなくなる資産についての償却費については、「期中損金経理」をしてもよいとの規定がないので、損金算入できないのでしょうか。
 グループ法人税制についての平成22年10月6日付公開情報によると、譲渡損益調整資産についての譲渡時点までの「期中償却額」は損金算入となり、譲渡損益調整資産の帳簿価額1,000万円の判定も期中償却額控除後による、としています。


どういう理解をすればよいか

 期末に存在する資産、そして適格現物分配等での期中移転資産については減価償却に関する規定がある、ということは確かなことです。
 それに対して、期末に存在しない期中異動資産で、異動事由が適格現物分配等でないものについては、減価償却に関する定めはありません。定めが無いのだったら償却してよいのか、よくないのか。
 ここが思案のしどころですが、定めが無いのだから、償却してよいのだ、と理解すると、当局から披歴されている色々な文書情報のつじつまが合います。


期中異動資産の償却原理

 そうすると、期末に存在しない期中異動資産に係る償却規定の理解を整合的にまとめると、次のように言えることになります。
@ 償却費の計上が許される適格再編の「期中損金経理」規定は、優遇規定なのではなく、2ヶ月以内の税務署への届け出を課した制限規定である。
A 適格再編以外での期中異動資産については、別段の定めが無いので、会計慣行による「期中償却額」がそのまま損金算入となる。


 当局情報は、法律に反することになっていても、構わないよ、という意味のものではない。
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「ディスカウント債の税務」

2011/09/20 08:46
ディスカウント債とは

 募集広告で目にする「ディスカウント債」は、最近人気があるようです。
 ディスカウント債とは、「利付債」と「割引債(ゼロクーポン債)」の2つに分類される債券の種類のひとつで、この両分類の両方の性格を併せ持ったものです。
 利付債と同様に定期的に利子を受け取ることができ、しかも割引債のように額面から一定額が割り引かれて発行されるので、最終的な実質利回りが相当に高いことをセールスポイントにしています。


債券は国や企業などの借用証書

 債券の発行の時点で、額面金額や利率、返済日(償還日)が決まっていて、利付債の場合は、発行時に支払ったお金が償還時にそのまま戻り、保有期間中は、月1回とか年2回とか決まった利払い日に決まった利子が支払われます。
 それに対し、割引債には保有期間中の利子の支払いがなく、その代わり、額面より安い金額で発行され、償還時に額面金額が戻ってきます。


ディスカウント債の税制

 ディスカウント債は、一般の利付債と同じ課税関係です。利子は20%の源泉分離課税となります。ただ、もともと利率が低いので負担感はそれほどないでしょう。
 償還差益は雑所得としで総合課税されます。発行価格が低い分、償還差益は多く、給与所得など所得合算で課税されるので、税負担は無視できません。
 ただし、償還期間に応じた利率制限(7年未満の場合0.1%以上など)を充足していれば、償還前譲渡による利益は非課税です。償還直前の譲渡益なら償還差益とあまり変わらないので、税制有利選択を前提にすると税引き後実質利回りは一段と良くなります。


新興国のものが目立つ

 ブラジルレアル、南アフリカランド、インドルピーなど新興国の通貨建て債権が目立っています。年利率は0.5%程度ですが、償還による最終利回りが10%を超えているものが多数です。
 ただし購入には、発行体の信用リスク、為替変動リスクがあることをきちんと理解しておくことが肝要です。


有利でも、リスクを考えると躊躇するな
償還前譲渡は個人同士だとババ抜きみたいなものだけど、法人が少し割り得くに買えばお互いメリットがあるね。
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「子育世帯を支えるという理念」

2011/09/14 23:22
子ども手当と児童手当

 子ども手当は民主党が平成21年のマニフェストに掲げた目玉政策で、社会全体で子育て世帯を支えるという理念に沿って、平成22年度から中学生までの子どもを対象に、所得制限なしに一律で月額13,000円を支給しました。
 児童手当は子ども手当の導入前に実施されていた政策で、年収800万円程度のところに所得制限を置き、額は、1人目または2人目であれば、月額5,000円、3人目以降であれば、月額10,000円、3歳未満の児童に対する児童手当の額は、出生順位にかかわらず一律10,000円支給でした。


3党合意の新こども手当

民主・自民・公明3党は8月4日に子ども手当の見直しで正式に合意し、今年10月から一律の支給額を変更し、0〜3歳未満は15,000円、3歳〜小学生は10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生は10,000円とすることにしました。
 さらに、来年度には子ども手当を児童手当に衣替えし、支給対象を世帯年収960万円以下とする所得制限が設けられます。


年少扶養親族控除も子ども手当てもない

子ども手当の導入に伴って年少扶養控除(所得税で38万円)が廃止されており、さらに今後、年収960万円で所得制限が設けられると、夫婦でそれぞれ500万円づつ稼いでいる子育て家庭では控除も手当もなくなります。


年少扶養控除廃止と子ども手当での補填

 年少扶養親族控除が廃止されたことにより、所得税(5〜40%)と住民税(10%)は下記のようにそれぞれの税率段階に応じて、扶養親族1人当たりの税額が増えています。
38× 5%+33×10%= 5.20万円
38×10%+33×10%= 7.10万円
38×20%+33×10%=10.90万円
38×23%+33×10%=12.04万円
38×33%+33×10%=15.84万円
38×40%+33×10%=18.50万円
 所得税率33%、40%ラインの人は、今後子ども手当支給対象外です。共働き世帯では、23%ラインの人も対象外でしょう。20%ラインのところで、税の増を子ども手当の支給でやっと補填している状況です。
 子育て世代に優しくない税制がこのままでよいのか、疑問になります。
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「特別分配金と普通分配金」

2011/09/13 20:28
高い分配金という魅力

 高い分配金を掲げた投信が人気を集めており、その高さの魅力に引かれて、毎月分配型の株式投資信託に投資しているという人がいると思います。
 受け取る分配金には、特別分配金と普通分配金があり、源泉分離課税の場合でも、申告分離課税の場合でも、特別分配金には課税がされません。非課税分配金なんて美味しそうな話ですが・・・・
 それがどう違うのか、ここでおさらいしたいと思います。


勘違いをしていませんか?分配の原資

 追加型の株式投信の場合、運用が始まった後も時価(基準価額)で購入できます。税金計算では、この実際に買い付けた価格を個別元本とみなします。
 比較的多くの人が勘違いしていますが、投信は分配金が出るとその分だけファンド外に資産が流出し、基準価額が下がります。
 この分配落ち後の基準価額が個別元本を割り込まなければ分配金は利益から支払われていることになり、これを普通分配金と呼びます。
 普通分配金は配当所得として扱われ、10%の税金が源泉徴収されます。
 逆に、分配落ち後の基準価額が個別元本を下回るような場合でも分配金が出ることがあります。投資家の元本の一部を原資に支払っているもので、これを特別分配金と呼びます。元本が分配金という形で戻ってくるだけなので、  特別分配金は非課税になります。


蛸あし配当の特別分配金

 特別分配金はボーナスのような印象を受けますが、実際はファンドが収益を上げていなくても支払われます。
 分配金の種類は郵送書類や電子交付サービスでわかるので、必ず確認すべきです。特別分配金の支払いが続くと基準価額が大きく下がることになります。分配金の水準だけではなく、基準価額の推移にも注目すべきです。
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「今年の税制改正 FX税制の一本化」

2011/09/12 23:16
ミセス・ワタナベとは?

 2007年頃から東京のインターバンク市場にて、昼をはさんで午後になると大きな要因はないにもかかわらず、為替相場が反対方向へ振れる現象がしばしば見られ、為替のプロたちが予期せぬ損をさせられました。
 こうした状況が頻繁に起こったため、原因を探っていくと、主に日本の主婦やサラリーマンなどの個人のFX投資家が、昼休みを利用して一斉に注文を出していたことが判明しました。一時は為替取引の3割以上を占め、大きな影響力を持ったため、彼女たちの逆張りに、海外にて「ミセス・ワタナベ」という呼び名が生まれました。


取引所と店頭の税制一本化

 ミセス・ワタナベに朗報となる外国為替証拠金(FX)の損失繰越・損益通算に関する税制改正が、今年成立しています。
 取引所FXは現在、「雑所得・申告分離課税」に分類されており、税率は利益の金額にかかわらず一律20%。損失がある場合は3年にわたり繰越控除ができます。
 一方店頭FXは「雑所得・総合課税」とされ、損失は繰り越しできず、税率も住民税と併せた最高50%にも達する累進課税の対象です。
 これが、来年1月1日以降取引分から「雑所得・申告分離課税」に統一されることになりました。


税制一本化の範囲はもっと広い

 FXと同じく証拠金を預け、レバレッジをかけて取引を行うその他のCFDと呼ばれる株式や株価指数等を対象にする日経平均先物などや、更に金融商品先物取引だけでなく商品先物取引も含め、従来から申告分離の雑所得とされていたものが全て一本化されました。


今年の決済か、来年の決済か?

 FX取引では売買を決済した取引だけが、その年の確定申告の対象になります。店頭FX取引を手がけ、損失を抱えてしまっている場合は決済を来年まで先送りした方が有利かもしれませんし、雑所得の年金所得と相殺するなら今年中の決済が必要です。
 「含み益」が大きい場合は、課税額の試算が必要です。課税所得が330万円以下なら年内に決済した方が納税額は少なくて済みます。


4億円のFX無申告ミセス・ワタナベ同士のネット対談もあるのね
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「今年の税制改正 目玉となった雇用促進税制」

2011/09/11 17:17
今年度税制改正の目玉

 平成23年度税制改正は大ナタを振るわれて、肝心なものが国会の店晒しの憂き目を見ていますが、そんな中で成案となったものの目玉とされているのが雇用促進税制です。
 雇用の維持・促進を図るのが目的で、雇用者数の増加に応じて税額控除でき、事業規模拡大を検討している企業にとっては意味のある制度と言えます。


使い勝手が悪そう

 制度の適用には、事業年度開始時および終了時の年2回、ハローワークに雇用促進計画の書類を提出する手続を踏まなければなりません。
 「雇用促進計画」を作成し、同計画の達成状況を確認した書類の写しを確定申告書に添付する必要があるからです。
 制度適用を検討している法人としては事前の準備が必要です。


優遇内容と要件

 法人税額の10%、中小企業者等であれば20%を限度に「雇用増加数×20万円」の税額控除ができるというものです。
 雇用者とは、法人の役員とその親族等と、使用人兼務役員以外の一般被保険者に該当する者で、要件としては以下の5つです。
@ 前年度と当年度で雇用主の都合による離職者がいない
A 前年度末の雇用者数よりも5人以上(中小企業者等は2人以上)増加している
B 基準雇用者割合(=(当年度末雇用者数−前年度末雇用者数)/前年度末雇用者数)が10%以上
C 当年度の給与等支給額が比較給与等支給額(=前年度給与等支給額+前年度給与等支給額×基準雇用者割合×30%)以上
D 風俗営業等を行っていない


適用対象の期間と臨時の措置

 雇用促進税制は、開始事業年度が、23年4月1日から26年3月31日である青色申告の法人と個人に適用されます。
 新法の施行が6月30日でしたから、4月1日開始事業年度の法人にも遡及適用させているわけです。これに対応して、厚生労働省も、23年4月1日から8月31日までの開始事業年度について23年10月31日まで受け付けるとしています。
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「地ビール製造者は173社」

2011/09/06 23:33
平成22年度調査統計資料より

 国税庁公表の「地ビール等製造業の概況調査」によると、地ビール製造業者数は173者です。うち、151者(96.2%)が中小企業者です。
 総売上高に占めるビールの売上高の比率が100%の完全専業社は9%で、専業割合10%未満が40.8%で、30%未満が63.7%なので、専業とするにはリスクがあると判断されているようです。


地ビール業界の経営状況

 ビール事業の売上高は、平均65.9百万円、営業利益の額は、3.2百万円であり、前年と比較して、営業利益が、70万円(128.0%)増加しています。
 ただし、営業赤字の企業及び営業利益額50万円未満の企業の割合が、前年に引き続き企業全体の5割以上を占めています。
 とは言え、企業全体の税引き前利益(ビール事業以外を含む)をみると、前年と比較して、企業全体に占める欠損企業及び低収益企業(税引前利益額50万円未満の企業)の合計の割合が減少しているので、地ビールには相乗効果が期待されているようです。
 

相乗効果をもたらす販売形態

 販売形態としては、レストラン併設形態、物産店への供給、料飲店チェーン店への供給、酒類販売業者への卸売その他、がありますが、レストラン併設形態が最も多く、40.1%を占めています。そのため、ビンや缶よりも樽売りの割合が34.9%と最多となっています。
 物産展向けが営業利益9%と最も採算が良く、レストラン併設形態は4.1%、料飲店チェーン店向けは赤字で、その他はトントンなので、専業の製造卸には環境は恵まれていないようです。


大手は外してある

 地ビール業者としては、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリー、オリオン、の大手5社は統計から外されています。
なお、聞きなれない、オリオンビールというのは、大手5社中のシェア0.9%と、1%に満たない、圧倒的な最下位業者ですが、沖縄県では過半のシェアを占める、沖縄県内大手企業です。
 米国統治下の 1957年に沖縄ビール株式会社として設立され、沖縄本島北部の名護市に生産工場を持っています。

     地ビール製造兼業のレストラン経営者が多いんだね。 
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「グループ法人税制 国税庁作成の一大親族相関図」

2011/08/31 19:22
不可能を前提とする制度

 今年の3月決算法人からはじまった、グループ法人の個人親族オーナー株主グループに係る完全な出資関係図となると、その作製は絶対に不可能です。
 しかし、完全な系統的出資関係図の存在抜きにグループ法人税制は法律通りには機能しません。
 不可能なことを前提にして、可能にすることを追求するとしたら、国内の完全支配関係にある法人と個人親族の一大相関関係図を作成する巨大なプロジェクトを立ち上げなければなりません。


完全なものを作ることが可能だとしたら

 巨大プロジェクトが国税庁の大型コンピューターを駆使して、まず、提出された「出資関係図」を接合し、税務署に集積されるその他の情報もそれに付加し、漏れや穴を塞ぎ、細密化・総合化を繰り返して、完成度を高めていくことになります。
 そういうことがすでに始まっているとして、その情報は、法人情報を媒介として、結局は個人情報の集積をすることにもなります。
 そうすると、日本国民及び日本国内にいる各国の「在日」の方々の全体を包含するような、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族、及びそれと接触する事実婚者、お妾さん、使用人とそれらの親族を含む、相関関係図が出来上がることになります。


そういうことが何を意味するか?

 不気味な印象が生まれてきます。
第一に、デジタルデータで作られたものは、ウィキリークス事件から想定して、“情報は必ず漏洩する”と考えるべきです。
第二に、例え守秘義務があるとしても、悪意をもって、あるいは確信犯的に、漏洩する内部の関係者の出現も、過去の事例からして、皆無とは言えません。
第三に、憲法の保障する「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」によって差別されないために「秘匿」していることが公開の憂き目にあいかねないことになります。


国税庁は問題意識をもつべき

 巨大プロジェクトには憲法の最も根本的な原理に関わる重大な問題が孕んでいます。原則として、「出資関係図」の間の情報接合作業は禁じないと、由々しき事態が起きかねません。そして、不可能を前提とする法制度も見直すべきです。



精度の高い親族関係図を、国家管理にて作成すること?

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「グループ法人税制 出資関係図という法人家系図」

2011/08/30 21:48
本年3月決算から始まった

 グループ法人に該当していたら、グループ内の各法人間の完全支配関係を系統的に示した「出資関係図」、すなわち法人家系図のようなものを確定申告書に添付しなければなりません。今年の3月決算法人からこの提出義務があることになりました。


完全なものを作ることは可能か

 国税庁の公表する質疑応答事例でも、出資関係図には、期末における完全支配関係があるすべての法人を記載するべきところ、把握できなくて漏れがあっても構わないこととしています。
 法人株主に限っても、大規模法人になると把握できないかも、と言っていますし、個人株主となると、完全な出資関係図の作製は絶対に不可能です。


個人株主の場合の作成範囲

 個人株主の場合は、個人株主の親族関係者全体を一株主のように見るので、一の個人株主の範囲に含まれるのは、
@ 株主等の親族
A 株主等と事実婚の者
B 株主等の使用人
C 株主等が生活の面倒をみている上以外の者
D 上記ABCの者の親族
と、いうことになっています。
 個人の親族というだけでも、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族で、この範囲ですら親族付き合いをはるかに超えています。まして、親族の誰かのお妾さんの親族、などという範囲など捕捉しようがありません。


不完全な系統図は税務署が完全にする?

  グループ法人税制は、完全支配関係があるグループであることを把握していたかどうか、知っていたかどうか、 にかかわらず、適用があります。
 そうすると、完全な「出資関係図」の作成が絶対的必要事項になります。さもないと、わかる範囲でのグループ法人税制ということになり、あるべきグループ法人税制として法の予定する執行が不可能になります。
 完全なものの提出が困難ということを前提にして、不完全な「出資関係図」を完全なものにする税務署の仕事が新たに生まれたようです。

 6親等の人が何人いて、いまどうしているのか知ってる?
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「グループ法人税制 親子法人関係化手法の留意点と優劣」

2011/08/29 20:44
完全支配関係の判定

 グループ法人税制における完全支配関係があるか否かを判定する時期が、各制度によって異なっています。
その主な制度の適用時期と完全支配関係の判定時期は、次の通りです。
@譲渡損益調整資産に係る譲渡損益の課税繰り延べについては、譲渡時点で完全支配関係がある場合に適用
A寄附金の損金不算入及び受贈益の益金不算入については、支出・受領の時点で完全支配関係がある場合に適用
B受取配当等の益金不算入(負債利子控除なし)については、その配当等の額の計算期間を通じて完全支配関係を有している場合に適用


完全支配関係の判定上の留意点

 これら@ABで特にBが留意すべき事項で、制度の恩恵を受けようとしても、適用要件が過去の期間に遡及しています。
 完全支配株式と言えるためには、配当の受取法人が、配当の計算期間の最初から最後まで継続してグループ内法人である場合に限られています。半年以上1年未満の場合は100%子法人ではあっても、25%以上支配の関係法人株式になってしまいます。半年未満だと、一般の株式と同じ扱いです。
 従って、組織再編を適格にて行って完全親子関係にしたとしても、その後の法人間の行為では必ずしも完全支配株式や関係法人株式に該当しないことになることがあります。


配当の源泉所得税に落とし穴

 先の@ABのほかに、配当に係る源泉所得税を法人税額から控除する場合においても、配当計算期間内の元本所有期間での月数按分の規定がありますので、同じく組織再編を適格にて行った場合でも、予想外の落とし穴に陥込むことになりかねません。
 ただし、株式移転による組織再編だけは、受取配当金の益金不算入や配当源泉所得税の法人税額控除の場合においても、期間の遡及規定に耐えて、規定されている制限の対象からはずれていますので、組織再編手法の選択に制約がないとしたら、会社分割、株式交換よりも、まずは株式移転を手法に選択できるかどうか考慮すべきです。


 どういう方法で親子関係にするのがよいか
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「グループ法人税制 制度有利適用への親子関係化」

2011/08/25 22:59
親子関係化の手法

 グループ法人税制の下では、個人株主の下に複数の兄弟会社があるという形は避けて、親子関係に組み直しておくのがベターです。その場合の持株会社設立や兄弟会社の親会社化手法としては、
@ 新設分割をして事業を分社化する
A 株式交換をして完全親会社になる
B 株式移転により完全親会社を新設する
などが挙げられます。


分社型新設分割による事業移転

 @の場合、会社分割でできるのは、子会社か兄弟会社に限られるので、親会社をつくることはできません。
 したがって、この手法は、現在一社しか存在しない状態をグループ法人化する場合の選択と言えます。なお、分割型分割は兄弟会社を設立するときの手法なので、ここでの選択からは外れます。
 分社型分割の手続きとしては、設立される分割子会社に資産と事業の全部または一部を移転し、その対価として分割子会社が発行する株式の全部を分割元となる会社が受け取ります。


株式交換による完全親子関係化

 Aの場合、株式交換は既存の会社同士の組織再編行為なので、現在一社しか存在しないとしたら、新規に会社を設立しその会社との株式交換をすることになるし、すでに兄弟会社があるとすれば、その中の親会社にふさわしい会社を相手に株式交換することになります。
 手続きとしては、子会社となる会社の旧来の全株主の全株式を親会社となる会社に引き渡し、代わりに親会社となる会社の株式の交付を受けます。


株式移転による完全親会社の新設

 Bの場合、株式移転は新会社である親会社を設立する組織再編行為です。
 手続きとしては、子会社となる会社の旧来の全株主の全株式は新設で親会社となる会社に引き渡され、代わりにその親会社の設立に伴う株式の交付を受けます。


これら@ABの結果

 これらの結果、一つの会社が他の会社の100%株主である完全親会社となり、他の会社は完全子会社となり、法人を100%親会社とするグループ法人が成立します。


  兄弟会社はやめて親子会社にしよう
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「グループ法人税制 受取配当等の益金不算入制度」

2011/08/23 02:36
受取配当等の益金不算入の制度の趣旨

 配当支払法人における配当の支払原資に対して法人税課税がされていて、配当受取法人において更にその受取配当等に法人税課税されると、これは二重課税であると解されて、その排除を目的として益金不算入の規定が設けられています。
 ただし、配当収益の元本である株式の取得に際して投資した額を確保するために要した負債の利子は益金不算入額の計算上減算控除されます。利息が費用として損金算入され、収益が益金不算入では、逆の二重控除となるからです。


100%グループ内の場合の特例

 完全支配関係にある親法人が受ける子法人からの配当等の額については、益金不算入とするだけでなく、負債の利子の額の控除もしないことになっています。
 この規定は、100%支配グループ内の資金調達に対する中立性を確保する観点や、完全支配関係にある法人からの配当は、グループを総合的にみて、別な事業部門から間接的に行われる資金移転と考えられる、ということから趣旨説明されています。


制度適用の要件と制限

 ただし、作為的に完全支配関係を構築しても直ちにこの適用が受けられるようになるわけではありません。
 ここにおける完全子法人株式とは、期末時点で完全支配関係があるというだけでなく、配当等の額の計算期間の開始の日から計算期間の末日まで、配当受取法人と配当支払法人との間に、完全支配関係があった場合の株式をいう、と極めて制限的に規定されているからです。


制限が緩和されている場合もある

 なお、適格合併等があったことにより新たに完全支配関係を有することとなった場合でも、その適格合併等で引き継ぐこととなったその完全子法人株式についての保有期間は引き継ぐことになっていますので、適格優遇の配慮はあります。
 また、その支払を受ける配当等の額がみなし配当等の額である場合に、その金額の支払に係る効力が生ずる日の前日において法人と他の内国法人との間に完全支配関係があれば、それだけで要件を充足しますので、配当計算期間における保有期間制限には拘わりません。
 株式移転による完全親会社もこれらの制限から解放されています。


寄附と配当を組み合わせればうまい手が生まれるかも
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「グループ法人税制 現物分配の使い勝手のよさ」

2011/08/22 09:48
現物配当と現物分配

 現物分配とは、剰余金の配当等またはみなし配当により株主等に金銭以外の資産が交付されることをいいます。
 会社法で定める現物配当とはこの規定の上では同じですが、税法上では組織再編の実行行為と位置づけされ、配当行為としても排除したので、会社法とは異なる命名とされました。


現物分配の組織再編機能

 現物分配が組織再編行為と言える典型例は、子会社株式を親会社に現物配当することなどに見られます。それにより、子会社が兄弟会社になってしまいます。
会社分割により、グループ内の他の会社に財産を異動させる行為も、現物分配により同じ目的を達することが可能です。


完全支配関係下の現物分配

 100%支配グループ内の現物分配は自動的に適格現物分配とされ、他の組織再編制度と同じく、簿価による資産移転なので譲渡損益課税から解放されています。
資産の移転を受けた法人においても、移転直前の帳簿価額により取得したものとされ、その受けたことにより生ずる収益は益金不算入です。


配当の仲間から除外

 適格現物分配は、配当ではないとの扱いなので、収益の益金不算入の意味は、「受取配当金の益金不算入」の規定の適用ではなく、最初から、組織再編的に利益積立金への直接異動として処理します。
 それゆえ、現物配当は源泉徴収の対象にもなっていません。
とは言え、これは株主への配当に係る制度を利用しての行為なので、子会社や兄弟会社への財産の移転には使えません。


現物分配行為の留意点

 完全支配関係については、現物分配の直前に完全支配関係があることのみが要件で、その後のその関係の継続は要求されていないので、組織再編機能としても、まことに使い勝手のよい制度です。
 なお、現物分配は一つの行為で複数の者を被現物分配法人とすることがありますが、その場合、その中に個人、外国法人、公共法人、公益法人等又は人格のない社団等が一者でもあれば全体が非適格となる、という制約もあります。


 現物分配で会社をもらってしまった
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「グループ法人税制 寄附金と受贈益の取扱い」

2011/08/10 22:09
資金調達の中立性

 100%支配グループ内の法人による完全支配関係にある内国法人間の寄附金については、支出法人においては全額損金不算入、受領法人においては全額益金不算入となります。
 この規定にも、100%支配グループ内の資金調達に対する中立性の確保と言った制度創設の趣旨が伺えます。


制度対象の限界

 ただし、この寄附金の取扱いは、100%支配グループの中の、法人によって支配されている内国法人にのみ適用されます。直接の株主として個人株主が一部にでもいる法人が寄附の当事者になっている場合には、適用されません。株主個人間の財産の異動にこの制度が節税策として利用されるのは困るとの理由で法人支配に限っているからです。

制度誘導している組織関係

 そうすると、これからは、個人株主の下に複数の兄弟会社があるという形は避けて、兄弟会社の上に全会社を統括する持株会社を設けて親子関係にするとか、兄弟関係を親子関係に組み替えるとか、ということが複数法人間の関係のあるべき姿として制度誘導されていくことになるのではないでしょうか。


子会社株式簿価修正という課題

 また、100%支配グループ内の寄附金の制度は、親会社に新たな事務を課しています。子会社に寄附の授受の事由が生じたら、その子会社株式簿価に、益金不算入・損金不算入となった寄附金の額相当額を加算・減算する簿価修正作業をします。
 目的は、グループ法人間の寄附についての制度を利用して、グループ法人間で株式価値の移転を企図し、株式価値の小さくなった子会社株式の譲渡により作為的に損出しすることを防止することにあります。


簿価修正強制の及ぶ範囲

 この帳簿価額の修正は、グループの頂点の法人株主まで連鎖的に行うことが制度の整合性の観点から望ましいものの、制度の実行可能性から、直接の株主段階のみ行うこととされています。直接の株主が個人株主の場合には、個人株主に法人税のこの規定を及ぼすことはできませんので、寄附修正の効力はここで行き止まりです。

子会社株式簿価修正ってのは厄介だな
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「まだあった抜け穴」

2011/08/08 20:38
大きな抜け穴だった自己株税制

 高い帳簿価額の子会社株式を自己株として引き取らせることにより、益金不算入のみなし配当と株式譲渡損を発生させる節税手法がありました。
この手法を使い、連結納税の隙間を突いて4千億円もの節税をはかった日本IBMは法令の乱用として国税当局により節税額を追徴され、現在係争中のようですが、昨年の税制改正でこれらの手法はほぼ完璧に封じられることになりました。


しかしまだあるらしい

 一般の「市場取引」での自己株取得では、買い手が誰か不明で自社株買いにあたるか分からないため、譲渡側にみなし配当課税は適用されないことになっています。
7月25日の日経新聞の報道によると、東京証券取引所の自己株式立会外買い付け取引「ToSTNeT−3」は買い方を発行会社に限定するものなので、みなし配当発生取引に該当する可能性が高そうです。


公開買付による自己株取得は

 公開買付による自己株取得については、相手が誰か明確なので、譲渡法人については一貫して、みなし配当発生取引としてきましたが、個人譲渡者については、昨年平成22年までは、単なる市場売却とする扱にしていました。ただし、今年からは、これも法人と同じ、みなし配当発生取引です。
 なお、平成22年税制改正では、
@公開買付に応ずる目的での取得
A100%支配関係にある会社間取引
この二つに該当する場合のみなし配当については、節税にならないように手当されました。


ゼンショーの場合は

 日経新聞の報じたところでは、ゼンショーはカッパ・クリエイトの実施した「ToSTNeT−3」による自社株買い応じて多額の節税に成功しました。これに、国税局がみなし配当対象外として20億円の追徴をした、ということです。
 ゼンショーは自社株買いに応ずる目的で株式を取得したわけではなく、また100%支配の関係にある株式でもないので、一般の公開買付の場合の扱いと異なる課税関係にすることは難しいのではないかと、思われます。

みなし配当は
個人は不利だが、法人は有利
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「グループ法人税制  譲渡取引の損益の繰り延べ」

2011/08/08 02:01
損益繰り延べの対象は

 100%支配グループ内の内国法人間での資産の移転は時価で行われますが、譲渡損益は繰り延べとなります。
 対象資産は、固定資産、土地、有価証券、金銭債権、繰延資産などで、譲渡損益調整資産と名付けられています。商品等の棚卸資産や帳簿価格が1,000万円に満たない資産は繰り延べの対象から除かれます。


繰り延べの当初処理と事後処理

 繰り延べは譲渡側だけの問題で、譲り受け側は普通に時価取得したということです。
繰り延べられた譲渡損益は、その資産が減価償却資産・繰延資産という償却対象資産の場合は、譲渡先法人の償却費計上等に合わせて原則法や簡便法の計算に従って算定される金額が戻し入れられます。
 それ以外の資産の場合には、完全支配関係が消滅したり、その譲渡された資産が再譲渡、除却、評価替え等された場合に、繰延譲渡損益の全額が戻し入れられます。


繰り延べ後の処理のための手続き

 なお、完全支配関係があるとはいえ、譲渡法人と譲受法人は別法人ですから、譲受法人において譲渡損益の戻し入れ事由が生じたことを、譲渡法人が知ることは必ずしもできません。そのため、グループ法人税制の適用を受ける場合、譲渡法人及び譲受法人は相手方に対して、譲渡損益の戻し入れを行うために必要な情報を通知し合うこととされています。


具体的には以下の情報を通知し合います。

@譲渡法人から譲受法人に対して、譲渡損益調整資産に該当するか、償却資産に係る譲渡損益の戻し入れが簡便法によるかを。
A通知を受けた譲受法人から譲渡法人に対して、譲受有価証券が売買目的有価証券とされるか、損益戻し入れ簡便法資産に適用する耐用年数又は支出の効果が及ぶ期間を。
B譲渡損益の戻し入れ事由の発生の有無を。


適法な完全支配関係とその判定時期

 この譲渡損益の繰り延べの制度の対象は、内国法人である普通法人と協同組合等に限られますので、譲渡法人又は譲受法人が外国法人、公共法人、公益法人等、人格のない社団等である場合には適用されません。
 この制度の適用にあたり、譲渡法人と譲受法人が適法な完全支配関係にあるか否かについて判定するのは、資産を譲渡する時点です。


グループ内でも再譲渡すれば、繰り延べ損益は実現となる
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グループ法人税制の創設と要点」

2011/08/05 01:58
今後の法人税制の大枠

 法人税制は、個々の法人に対する税制度であるとともに、連結グループ全体を一つの納税主体として選択した連結納税制度と、さらにその中間に位置する、100%支配グループ法人間に強制適用されるグループ法人税制度とに体系的に整理されました。


グループ法人税制の対象

 発行済株式等の100%を直接又は間接に保有する関係のある法人のことを完全支配関係にある法人といい、完全支配関係にある法人グループ内の取引や行為について規制するものです。
 個人又はその個人の親族、すなわち、6親等内の血族、3親等内の姻族によって100%支配されている会社同士はグループ法人とされます。


グループ間取引の円滑化

 この制度の大きなメリットは、グループ内での資産や資金の移転を課税なしに行うことができることです。グループ法人間で行った取引については、会計上での損益の認識にかかわらず、法人税法上では原則として申告調整によりそれを留保し、一定の要件が整うまで、損益を認識しません。
 そのため、課税関係の配慮に頓着せずに効率的に事業用資産の配置換えをしたり、資金の移転をすることができます。


使いこなせればメリット

 なお多くは、グループ内の譲渡益の繰り延べのイメージで制度説明をしているものの、実は譲渡損を出しにくくすることを狙っている制度と言えなくもありません。
しかし、譲渡損を絶対的に認めないという制度ではないので、複雑になりはしたものの制度をうまく使いこなせば、逆に不都合をうまく回避しつつ、メリットを享受することができます。


創設された主項目

 次は、グループ法人税制における主な事項です。
100%グループ内の
1.法人間の資産の譲渡取引
2.法人間の非適格株式交換等
3.法人からの受取配当等
4.法人間の現物分配
5.法人間の寄附金と受贈益
6.法人間の自己株式の取得等
7.解散子会社の欠損金引継ぎ


みんなの会社は、これからグループ法人になるんだって
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「今年の税制改正 網の目補強策」

2011/07/28 23:25
網の目細かくする3党合意改正税法

 6月30日公布された3党合意23年度税制改正法では、従来の税制の中の制度的杜撰さや逆用され易い欠陥を補強するものがいくつか目につきます。


中間申告制度のあり方の変更二つ
@前期確定法人税額が20万円以下では仮決算による中間申告書提出不可
A前期確定法人税額の半分以上とする仮決算による中間申告書の提出不可
 中小企業の7割は赤字申告です。赤字決算しか予定されないのに、半期の仮決算を大きな黒字にして予定納税し、確定申告ではその全税額の還付を受け、還付加算金を取得する、という一種の資金運用がありました。これに封じ手が打たれました。


計算期間の変更で還付加算金の縮減

 予納税額・中間納付額・相続精算課税の贈与税の還付加算金の計算期間を、還付決定後1ヶ月までの期間除外とし、通常の場合還付加算金は生じないようにしました。
 意図的資金運用としての還付加算金の取得は前項で排除し、経営悪化での還付のケースも、予定納税等の減額手続きの意図的怠慢とみなして、還付加算金の取得が排除されることになりました。


消費税免税事業者判定の基準二重化

 免税事業者判定には二つのハードルを越えなければならなくなりました。
@基準期間(前々年基準)の課税売上高が1,000万円以下
A特定期間(前年上半期基準)の課税売上高が1,000万円以下
 消費税の基準期間主義の欠陥の補正です。課税売上が大きく変動する業種や大きな景気変動に見舞われている企業が影響を受けることになります。平成25年1月1日以後の開始事業期間から適用です。
 

消費税95%ルールの小規模企業限定

 課税売上割合が95%以上の場合の全額仕入税額控除の制度は売上5億円以下の企業にのみの適用となりました。
 そもそも、非課税売上に対応する仕入税額控除を拒否し、損税の発生を強要することは問題のある欺制であり、95%ルールがそれを緩和していたところです。
 損税の強要の基準を5億円とするのは、卸小売、製造業では一桁低すぎる印象です。
 平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用です。



  網の目を細かくしたので、雑魚まで獲れるようになってしまった。
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「今年の税制改正 故意無申告への刑罰創設」

2011/07/27 20:12
3党合意改正税法の重罰主義

 6月30日公布された3党合意23年度税制改正法で目立つのは、「故意の申告書不提出によるほ脱犯の創設」で、申告納税に係る17の税法への新設です。
 これは重加算税というような行政ペナルティーの強化ではなく、犯罪としての懲役・罰金刑の法定で、憲法の罪刑法定主義の要請による法定です。


17の税法の3様相

@新法は2ヶ月間の周知期間経過後の行為に対して適用されます。
A所得税法に限っては、平成23年分以後の所得税に係る行為について適用です。
B措置法に係る所得税・相続税の義務的修正申告の不提出もこの類型です。


ほ脱犯とは

 ほ脱犯とは脱税犯のことです。故意犯なので、1) 納税義務の存在の認識 2) 偽りその他不正の行為の認識 3)正当な税額の全部又は一部を免れる結果となることの認識、があるとされるとき対象になります。
 個人については、懲役刑と罰金刑の両方が併科され、又、法人の場合には代表者等に懲役刑、法人に罰金が科されることがあります。


重加算税との重複は?

 憲法39 条の「又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。」との関連で、重加算税と併せて刑罰を科してもよいのか、の議論があるが、確定した判例では是とされています。
憲法上の黙秘権と税法の調査協力義務
 立件を目的にする犯罪調査には憲法上黙秘権の行使が保証されています。もちろん、一方で調査における協力義務の問題もあるので、境界が微妙です。
 実務的にも、理論的にも、議論の多いところです。


「東京税理士界」機関紙の心配

 納税者の権利は薄く、義務はあつく、質問検査権による調査は、事実上の強制調査に変貌か、このようなタイトルの記事が機関紙「東京税理士界」2011年3月1日号の11面にありました。
 これを怖れます。税務調査も、鋭く対立する場面が、場合・事案によっては避けられません。犯罪調査に一転する可能性を秘めて税務調査に協力的に臨むことへの相反的危うさがあります。


無申告で懲役、罰金・重加算税もとられた
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「今年の税制改正 年金者は申告しなくてもよい」

2011/07/26 19:28
3党合意をうけて今年から創設適用

 6月30日公布された3党合意23年度税制改正法の目玉は、年金者の申告不要制度でしょう。
 毎年の早春の喧騒を彩る所得税の確定申告の風物詩は、10数年前から「自書申告」のスローガンのもと、年金所得者の申告手続の急増に備えていました。今年からは、それを更に進化させて、「申告不要」ということにしてしまいました。


申告不要制度の対象

 年金のすべてについて申告除外ということではありません。制度創設の趣旨は、年金者への利便を唱ってはいても、行政サイドの少額多数者対象事務コストの削減です。
 年金者でも高額少数者に対しての申告義務の解除はまったく予定していません。その線引きは、
@年金の種類は公的年金等に限定
A収入金額が400万円以下
Bそれ以外の所得金額が20万円以下
です。年金の平均収入より高いので、年金者の7〜8割を申告不要対象にしようとしています。


申告不要は税の非課税や減免ではない

 申告不要で税の減収は予定していません。税収は確定申告手続きによってではなく、源泉徴収や特別徴収の手続きによって確保する予定です。
 とは言え、今までの年金に係る源泉徴収票では税額の算出過程が不透明で、その正確性のチェックがどの程度のものなのか疑問の多いところでした。


扶養親族等申告書の提出を承けて

 源泉徴収の税額は、年金受給者が提出する扶養親族等申告書の記載内容によります。
 ただし、その記載が正しいか否かを年金支払機関はチェックしません。給与所得者の扶養控除等申告書についても同じです。提出されたものを正しいものとして信じて源泉徴収等の事務処理をするだけです。不正記載への罰則もありません。


源泉徴収事務の強化が主眼か

 年金には年末調整のような課税所得を精算する場がなく、年金支払機関も複数の場合が多く、正確な計算が困難です。そんな中で申告不要の導入をするとなると、源泉徴収による税の確保が要所となります。今後はそこの制度改善がクローズアップされてきそうです。

   年金の確定申告はしなくてもよくなったみたいですよ。
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「今年の税制改正 3党合意に至らなかったもの」

2011/07/25 18:58
当初の内閣提出の税制改正案は

 通常国会の初期に出されていた当初の平成23年度税制改正案は、衆議院で立往生していましたが、その一部が、自公民3党合意案として分離され、6月22日に国会通過し、6月30日公布されました。
 3党合意に至らなかった残りの部分は、年度改正ではないタイトルに変えて引き続き「所得税法等一部改正案」として衆議院で継続審議という立往生状態を続けています。


本年改正が断念されたもの

 そういう経過で、当初の税制改正案で今年の成案化が絶望視されているものは以下の通りです。今年の改正の目玉項目だったものの多くを含んでいます。
<個人所得課税>
 ・役員の給与所得控除の上限設定
 ・給与特定支出控除の見直し
 ・成年扶養控除の所得制限(特定扶養親族・障害者等は存続)
 ・5年以下の役員退職金の1/2課税廃止
<法人課税>
 ・実効税率を5%引下げ(法人税率30%→25.5%)
 ・減価償却の見直し(200%定率法)
 ・大企業欠損金繰越控除の2割制限
 ・中小法人に対する軽減税率の引下げ(18%→15%)
<資産課税>
 ・相続税の基礎控除の引下げ、税率構造の見直し
 ・贈与税の税率構造の緩和
 ・精算課税の孫への対象拡大
<国税通則法>
 ・納税者権利憲章の策定等の抜本改正


増税路線と権利保護の破綻

 ここに列挙した税率軽減・贈与税以外の項目はすべて増税項目で、納税者権利保護もその増税への不満忌避としての策にすぎません。
 多分、今後は次々と新しい増税項目が毎年目白押しに出てくることになっていたのだと思われます。消費税の税率アップが当面の切所ではありますが。
 それが、最初の増税元年に破綻してしまったわけです。しかしながら、財務省は継続審議として成案化を追求し続けています。来年2年分をまとめて増税改正できるか否かが、今後のわが国の財務省主導の財政のあり様に、大きな影響を及ぼしそうです。
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「サラリーマンの節税」

2011/07/13 18:44
選択済みの最大の節税策

 サラリーマンは収入を誤魔化せないし、認められる経費も少ない、経営者たちは、領収書を集めて節税をやっていて、羨ましい・・・、なんて不満話はよく聞きます。
 しかし、給与所得者であることこそが、最大の節税策です。


事業者とサラリーマンの比較

 事業所得者で経費を2,000万円かけて4,000万円の収入があったとすると、稼ぎは2,000万円です。所得控除が200万円だとすると、所得税と住民税は約423万円で、社保負担を無視した税引き後手取は約1,355万円です。
 サラリーマンが同じ条件で同じ手取となるときの稼ぎである年収は約1,779万円になります。
 つまり、2,000万円とこの金額との差は給与所得控除による効果で、税法の世界では最大の既得権、最大の聖域です。


被災地の事業者とサラリーマンの比較

 大震災に遭って、一家の稼ぎ手が死亡したような場合、サラリーマンだと、まず労災保険の遺族補償の適用があり、厚生年金等の遺族年金の対象になります。年収として何百万円かになります。
 事業主の遺族には、労災も厚生年金も適用外で、国民年金の遺族年金が数十万円支払われるだけです。従業員の労災保険料の全額・年金保険料の半額を負担する事業主には人生のリスク管理は自己責任とされています。


法人成りは給与所得者成り

 多くの個人事業主にとって法人成りは、給与所得者となって節税効果の恩恵に与かれるとともに、本人も社会保険に加入できる、安定への第一ステップの意味をもっています。給与所得者であることにメリットがなかったら、法人成りへの意欲はあり得ません。給与所得者であることは最大の節税策なのです。


正社員保護制度が厚いことへの気付き

 逆に、経営者を妬んだり、不正の常習犯のように思ったりしている人々で、それなら自分も脱サラをして経営者になってやろう、と行動に出る人は滅多にいません。
 脱サラして初めて、給与所得控除という架空経費控除制度の恩恵に気付き、起業に失敗して初めて、正社員サラリーマンを保護する制度から脱したことのリスクの大きさに気付きます。


脱サラして、社会が正社員サラリーマン主義で秩序化されていることに気付いたよ!!
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