「理由附記をめぐる新しい租税行政判断」

すべての税務処分に適用

 国税通則法の改正により、平成25年から相続税や消費税などを含め、すべての税務不利益処分に際して、更正通知書に更正の理由を附記しなければならないことになりました。根拠法は行政手続法第14条です。その附記理由の程度に関する初めての裁決が平成26年11月に出ました。


裁決書を読むと

 処分庁の主張の基本は、①青色帳簿自体を否認する場合の理由附記の程度、②青色帳簿自体を否認しない場合の理由附記の程度、という判例法の体系が従来存在していたところを踏まえるならば、新たに理由附記が必要とされることになった税目に関しては、後者の②の場合の理由附記の程度と同じでよいはずで、その場合の理由附記の程度とは、適用法令と否認の金額が書かれていることで十分、というものでした。


税法以外の分野で先行

 行政手続法が立法されて以後、税法においては租税実務の「大量反復」性を理由に、その適用を全面的に排除してきました。その排除の期間に、税法以外の分野での、行政手続法第14条をめぐる争訟での最高裁判決が平成23年6月7日にありました。その判決は、直接に義務を課し又は権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えること、即ち、恣意抑制機能・不服申立争点明確化機能の担保を「理由附記」の要件としました。


審判所の判断の依拠したところ

 審判所の裁決は、青色申告帳簿をめぐる過去の判例史を一顧だにせず、この最高裁平成23年判例に直接依拠しました。適用法令と否認額から推測される多様な否認理由のどれを根拠にしているのか特定できない以上、理由附記が十分とは言えないとしました。税法の係争にも、最高裁平成23年判例の効果が直接及ぶようになったことを確認したのです。


新裁決以後の新たな地平

 そうすると、青色帳簿を否認しない場合の更正も、今後は、最高裁平成23年判例で判断することになり、従来の所得税法と法人税法における青色申告に係る理由附記規定は、創設的意味を失い、他の場面よりもより慎重さが要求される注意的・確認的規定と解されることになったと言えます。



この裁決により、理由附記判例法体系は再編成されることになりました。

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